静かな冬の朝だった。
空気は澄んでいて、
空も高く、
どこまでも遠く。
けれど、
その澄みきった冷たさが、
どこか寂しく感じられる朝だった。
俺とテヒョンは、
子供たちを送り出す準備をしていた。
リンファは無邪気に
笑いながら靴を履き、
テリンはジョンウンの
襟元を整えてやっていた。
その様子を、
テヒョンは黙って見つめていた。
その眼差しは、何度も何度も、
三人の姿を
目に焼きつけているようだった。
胸の奥がきゅっと締めつけられる。
___もう長くはない。
俺たちは、
もうすぐ“終わり”へ向かう。
ヨンジュンとボムギュが家に来た。
ふたりとも、もう何かを察している。
声には出さずとも、
その眼差しが物語っていた。
俺たちは何も言わなかった。
テリン、ジョンウン、リンファの
三人を預ける。
ヨンジュンが静かに頷く。
ボムギュが、
どこか寂しげに笑った。
その言葉に、
俺は微笑んだだけで
何も返さなかった。
きっと、もう戻れないと、
ふたりもわかっている。
けれど、それでも何も言わず、
受け止めてくれる。
その優しさに、
俺は救われた気がした。
出発の直前、
俺とテヒョンは
ジョンウンだけを、
そっと別室に呼んだ。
ジョンウンは、
何も聞かずに立っていた。
それだけで、
すでに察しているのがわかる。
ジョンウンの声は
震えていた。
テヒョンが、そっと膝をついて、
ジョンウンの肩に手を置く。
ジョンウンは、
ぎゅっと唇を噛みしめた。
それでも泣かないように、
必死に堪えている。
その言葉に、
俺の胸が張り裂けそうになった。
どれだけ強く、
優しく育ってくれたんだろう。
テヒョンは、小さく頷いて、
ジョンウンを抱きしめた。
その一言に、
全ての想いを込めて。
ジョンウンの涙が、
テヒョンの肩に静かに落ちた。
それから俺たちは、
子供たちの姿を見送った。
ヨンジュンとボムギュに
手を引かれながら、
三人は何も知らずに、
いつものように笑っていた。
俺たちはその笑顔を、
しっかりと目に焼きつけた。
手を取り合って、
俺とテヒョンは歩き出した。
雪が積もった白い道。
吐く息が白く舞い、
空は高く澄んでいた。
俺が言うと、
隣のテヒョンが
微笑んでこちらを見る。
ふたりで、静かに笑いあった。
心はもう泣いていたのに。
___この旅の先に待つのは、終わり。
けれど、その終わりすらも、
ふたりで迎えられるなら、怖くはない。
次の章へと続く物語は、
ふたりだけの、最後の時間。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。