車から降りて、晴人さんと一緒にエントランスに入った。
そして、ドアの前に着いて
晴人さんがインタンホンを鳴らした
すると
ガチャ
なんとも陽気な男の…人だけど
話し方とか仕草が完全に女の子みたいだ。
わたしが戸惑っていると
晴人さんに手を繋がれて、部屋に誘導された。
わたしは、晴人さんの靴と自分の靴を揃えて
リビングに入った。
元気よくハキハキした声で
わたしに自己紹介をした。
わたしに手を差し出してきた。
握手…かな?
わたしは、握手をすると
晴人さんは、握手していた手を無理矢理引き離した。
部屋のドアが少しだけ開いてて見えたけど…
…白いレースのカーテン…??
わたしがずっとそれを見ていると
……なんか、わたしが
踏み込んではいけないような感じがした。
別の部屋に3人で入ると
バタン
どこもかしこも本当に綺麗に清掃されていて
見入ってしまうほどだった。
わたしの名前を呼ぶと
クルっとわたしの方を向いた。
晴人さん。わたしの事話してくれてたんだ。
じゃなきゃ、ここには居ないよね。笑
たつやさんはそう言って
泣き笑いのような顔でわたしに笑いかけた。
…うん。
幸せにしたい、晴人さんを。
大きく口を開けて
手を叩きながら大笑いしている晴人さん
大好物を食べている時の満足そうな顔をした晴人さん
わたしが「おかえりなさい」と言った時の
「ただいま」を言う、晴人さんの優しい表情。
お酒を飲んで顔が赤くなる晴人さん。
…幸せそうな、赤ちゃんみたいな、可愛い寝顔。
いや、もう冗談に聞こえないです…。
わたしがオドオドしていると
晴人さんが、この先ずっと笑顔でいられるように。
万が一、辛い事があっても2人で寄り添って…
支え合って。
一緒に、生きていきたい。
強く、強くそう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。