この学校の近くには
美味しいパン屋があるんだけど、
木曜と土曜の5時から7時過ぎまでは
揚げパンだけを売ってる。
注文してから揚げ始める揚げパン、
マジで美味いんだよね。
しかも学生向けだから買いやすいようにって
値段110円とかマジ神ってる。
揚げパンの味を思い出して目が輝いた私を見て、
2人が苦笑した。
パン屋に着くと、店内には
6,7人くらいの行列が既に出来ていた。
と、自分達の前に見知った顔を見つける。
確か本山先輩と山崎先輩は
同中で自転車通学だったはず……
皆が笑う。
本山先輩は
何かお父さんみたいな感じがして話しやすい。
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LINEの着信音が鳴って、碧がスマホを取り出した。
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顔を赤くして碧がスマホの画面を隠す。
だけど、ちょっと遅かった。
本山先輩が意味ありげに声を出す。
碧が頭を抱える。
本山先輩がすっと目を細める。
皆が本山先輩を見上げる。
いつの間にか順番が来てたらしい。
コッペパンを揚げ始める音がする。
取り敢えず、今日帰ったらLINEを送ってみよう。
そう決意しながら、揚げパンにかぶりついた。
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すごく小さくだけど、
頑張って1歩踏み出せた。
揚げパンみたいに甘い甘い温かい感情が
胸の奥に広がった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。