第6話

家族
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2021/05/28 15:49 更新
めるとくん!

めるとくん!


めるとくんってだれ?

だれだっけ?

だれかが呼んでいるの?

ぼくのことを…。



その声はろきだった。

目を開けると、とても嬉しそうな顔で
こちらを見つめていた。


「ろき!
お掃除終わったんだね!
お疲れ様!!」

「あ、ぼく帰らなくていいのかな?
でも…帰る場所はないか…。」


【めるとくん、
きみのお家は今日から正式に、この松ぼっくりハウスだ!僕たちは家族だよ^_^】


「ろき!!
本当!?ぼく、ここにいていいの?
ぼく、ぼく…うっうっ…ひっく…」

「うわぁあああん!!」

「ろきありがとう!!!!」


「え?あれ?まって!ろき!どうしてぼくをめるとくんって呼ぶの!?」

「その名前はさっき ほぐ っていう男の人が教えてくれたんだ。」

「そうだ!!ぼく、ほぐにギュッてしてもらって
眠っちゃったんだよ!」




「……なんで!?」




ぼくが見たのはベッドの横に置いてある椅子だった。




夢だったんだ…。
…でもなんでろきはめるとっていう名前を知っているのかな?



【めるとくん、落ち着いて!
今、夢だったんだって思ってたでしょ?w
ほぐさんとお話をしたんだよね?】

【めるとくんが眠っている間に、ほぐさんから聞いたよ。】



「夢じゃなかったんだ!!!!
よかった!!!!」
「とっても素敵なお目目をしていたんだよ!!!!」


【そうかそうか^_^】


ぼくは椅子のほぐを見つめた。

そうだ、ちょうどこの椅子の後ろに付いている宝石のように、深く深く、美しかった。


「ほぐ、椅子に戻っちゃったの!?」


【どうやらほぐさんが人間になるには、
条件が必要なようだね。】
【人間になるというのか…、戻れる、なのかもしれないけど…。】



小屋の扉が開いた時、


ほぐはあのときも…
小屋の中で助けてくれたんだ。

あれ?でもなんで人間になって助けてくれなかったんだろう?その方が手っ取り早そうだけど。
いや、なったのかな?
じゃないと動けないよね…。


まさか…ぼくに姿を隠していたのかな?


そうだとしたら、さっきはなんで
人間の姿をぼくに見せてくれたんだろう。


また頭の中がぐるぐるする。
今のぼくは現実を受け止めるだけで精一杯だ。
頭が痛い。


【何か強力な力が働いていているようだね。】
【ほぐさんには。】

【元は人間なのか、椅子なのか…
そこまでのことは、僕にはわからない。】
【彼も話そうとはしなかったよ。】



強力な力?なんだろう?
魔女の恐ろしい魔法とか?


ほぐはまさか…呪われたの?
どうして!?そんな怖いものがこの世にいるの!?


【めるとくん、落ち着いて^_^】
【強力な力とはいったけど、僕はほぐさんに悪いようなものを感じないから、そんな不安な顔しないで!】

【さ、松ぼっくり茶を飲もうか!美味しかっただろう?】
【草も刈ってきたからね!ほぐさんにお座りなさい。ほぐさんも喜んでくれるはずだよ。】


そういってろきはコトコトとお茶を沸かしてくれた。


またぼくは、この松ぼっくり茶を一口
口に含み、苦味と甘い香りを楽しんだ。


その時また、ぽつぽつと雨が降ってくるのを感じた。


あの雨とは違って
優しく静かに松ぼっくりハウスを叩いていた。










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