第2話

[客観的に見なくても]紫 × 桃
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2025/11/02 12:04 更新

今年の二月にpixivで書いていたものを引用しています(一部加筆、修正有り)
紫さん誕生日記念
 本当に自分は幸せなんだなと、心の底から思う。

 癖が強くて一緒にいて楽しいと思えるメンバー。
 自分の為に動いてくれる沢山のスタッフさん。
 歌い手とか言う意味わかんない活動を応援してくれる家族。あと身バレした後輩。
 こんな自分を、自分の声を好きだと言ってくれる、画面の向こうの人間たち。

 色んな人に囲まれて、今の自分がいる。本当に、幸せ。


 客観的に、見たら。



 そんな満たされた人生の中でも不安だとか不満だとか一生消えなくて。

 それは例えば物をなくしたとか、仕事で関わる人間があんま好きじゃないタイプの奴とか。
 コンビニで好きなおにぎりが売り切れだったとか、足の小指をぶつけたとか、本当に些細で、些細じゃないこと。本当に本当に小さいこと。

 そんな小さいことで一喜一憂して、恵まれている環境の中で劣等感に呑まれる自分が心底気持ち悪くて仕方がない。
 そんな嫌な黒い感情を、今日もリリックに落とす。

 その気持ちを忘れずに、いつまでも未来の自分に切り刻むみたいに。


 過去の俺が選んだ苦しみを、今の俺が忘れないように。




# 桃
『いるまはさ、優しいよねえ』


そんな複雑でごちゃごちゃして、賞味期限切れの腐った感情を煮詰めて固めたみたいな俺の思考を、優しいと表現した馬鹿がいた。
# 紫
『……その心は』
# 桃
『んー? ……自分の嫌な気持ちとか記憶とか、そういう苦しみを忘れないようにしてるから』


# 桃
『どう考えても忘れた方が楽な記憶だけど、忘れない方が届く人が沢山いるから』
# 桃
『希望を届けるアイドルは自分と真逆だとか言うけど、本当は誰よりも自分思いでリスナー思いで、メンバー思いで』
# 桃
『色んな人を思うからこそ出てくる複雑で真っ黒な感情を、今までの自分の痛みを全部活動に注ぎ込んで歌詞書いてる。そういうとこかっこいいよなって』
# 桃
『プロトディスコ選んだのもそういう理由。……とかじゃない?』
 割といい線行ってると思うんだけどな、と画面の向こう側でそいつはけらけらと笑った。

 馬鹿みたいだった。そんな細かくてめんどいことごちゃごちゃ考えてないし。
 もし俺が、本当にそれを考えてやってたとしたら、それを隠してやってるのに全部曝け出すのはめちゃくちゃ営業妨害だろ、と思った。
# 紫
『お前、どっかの考察界隈やってたろ。しょーもないことばっか考えてるほんま』
# 桃
『えぇー、そう?w』
 馬鹿が、また笑った。

 思ったよりのんきで、ちょっとだけ俺も笑った。
# 桃
『……まぁ、そうか。いるまがそんなに考えてるわけないか〜』
# 紫
『それはそれで腹立つ殺す』
# 桃
『急に怖くて草、きゃーころされるー』

 作業中に脳死で出た言葉か、ジェヘナではなくプロトディスコを歌った腹いせか、あるいは本当に俺がそんなことを考えていると思ったのか。

 こいつの言葉はいつもわからないけれど。

# 桃
『ね、いるま』


# 桃
『……幸せな誕生日も、悪くないっしょ』



相棒らんのアイコンが、奴の優しい声色と共に光る。



# 紫
『……ま、せやな』




 少しそれが滲んで、俺のアイコンもつられて光った。


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