佳奈「ゆう」
優「まかせて」
佳奈からボールを受け取る。
そのままドリブルをして、シュートを決めると応援に来ていた男子達から歓声があがった。
公平「ナイス!」
奈生「優カッコイイよ〜!」
周「優!」
周と目が合うと周は笑ってピースをした。
私も笑ってピースをする。
女子「なになに〜、なんか仲良さげじゃん?」
近くにいた女子達がニヤニヤしている。
女子「付き合ってるの?」
優「付き合ってませーん、ほら!ボール来るよ!」
私は女子達の頭を両手でぽんとした。
ピピーッ
「「「ありがとうございました!」」」
決勝まで進んだ私達は3年生のクラスに負けて2位になった。
周「おつかれ」
周は笑っていた。
優「おう!」
私も笑って周にハイタッチをする。
__午後 __
午後からは男子のバレーだ。
私達のクラスの男子は今決勝戦をしている。
愛衣「男女どっちも決勝行ったよ!すごい!」
隣に座る愛衣が興奮気味に話す。
佳奈「頑張れ〜」
優「がんばー!」
相手チームがサーブをする。
公平「はーい」
公平が手を上げてボールを綺麗にセッターに返す。
周「俺行く!」
周が叫んでセッターの男子が周にトスを上げると、周は高く飛んでスパイクを決めた。
女子「きゃー!!」
女子「緒方くんすごい!!」
女子「緒方ってカッコイイね」
女子達が周を見てキャーキャー騒ぐ。
佳奈「緒方すごいね」
佳奈と愛衣が笑って試合を見ている。
優「かっこい、」
私はハッとして顔を赤くすると、2人が驚いた顔でこっちを見ていた。
愛衣「へ!?今、カッコイイって!」
佳奈「言ったよね、」
私は恥ずかしくて誤魔化した。
優「違う、ただ、思っただけで」
佳奈「お前誤魔化せてないぞ」
佳奈は少し笑って言う。
私は一気に熱くなった顔を両手でおさえる。
愛衣「ちょっとちょっと!顔を見せなさい!」
佳奈「赤い、可愛い」
優「うっさい!!」
私は2人に顔を赤くしたまま言うと2人はまた笑って試合を見だした。
ピピーッ
試合が終わった。
男子は惜しくも負けてしまって、男女ともに2位だった。
佳奈「あれ、優どこ行くの?」
愛衣「男子帰ってきたよ?」
優「ちょっと自販機行く!」
周と顔を合わせるのがなんだか恥ずかしくて逃げてしまった。
自販機で水を買ったあと、中庭にあるベンチに座った。
私今日変だ。
なんでこんなドキドキしてんだろ。
周「ゆーっ」
優「しゅ、う」
私は驚いて、立ち上がる。
周「俺も座ってこーかな」
周は汗を拭きながら笑った。
優「うん」
私は小さく頷いて周の隣に座る。
周「俺カッコよかった?」
周はニッと笑ってこっちを見た。
私は少し考えて小さい声で言った。
優「カッコよかった」
周「え、優今日素直」
周は驚いて私を見る。
私は誤魔化すように笑って周を見た。
優「いつも素直だわ!」
周はへへっと照れたように笑った。
周「そっか、嬉しい、ありがとう!」
周の素直な笑顔で私の心がきゅんとした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。