彼の言葉が私の頭の中で、ぐるぐる回り続ける。
念を押してそう伝えるけど、有岡くんは
どっちを信じるのだろうか.....
今となっては、もうどうしたら
いいのか案が浮かばない。
山田くんは頭がいい。
証拠がなくても口先だけで、上手いこと
相手を信じ込ませられる。
そこでやっと理解ができたのだ。
昨日、私が山田くんと話している時に、
彼は私の腕を掴んでその場を後にした。
だから、迷惑とか、邪魔とか...
そんな言葉がら出てきたのだろう...
でも私は山田くんが好きなわけではない。
好きなのは、目の前にいる彼なのに...。
...色々、誤解を解くのは多いけど
これだけは言える。ちゃんと知ってもらわなきゃ。
彼はとてもらしくない表情をしていた。
この流れで、勢いで思いを伝えられたら
どんなに癒えることか。
けど、私にそんな勇気はまだなかった。
良かったって.....口ではそう言ってるけど
本当に心からそう思ってる?
私が山田くんと付き合ってたってそんな嘘の
情報信じて、良かったって本当に思えたの?
ちゃんと疑って欲しかった。
聞いて欲しかった。
山田と本当に付き合ってたの?って...
ちゃんと信じて欲しかった。
それが嘘だって。
彼と少しでも、仲良くなりたい。
距離を縮めたい。
お互いの事を知ってもらって
自分も知り尽くしたい。
ちゃんと話ができたのに、
スッキリしないこの感じ...
晴れ晴れしないこのモヤッとした感覚に
私はもっと悩まされる。
山田くん.....何でそんな事言ったの?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。