
〖enn視点〗
ブーブーっと携帯のアラーム音が鳴って目が覚める。
起きようと身体を起こしてそのまままたベッドに逆戻りした。
目の前がぐるぐるする。
アタシは昔から貧血持ちで朝必ずといっていいほどこうなる。
だからアラームをいつも早めにかけとく、目を閉じて目眩が落ち着くのを待たなきゃいけんから。
企画会議は書記としてパソコン使うんよね…
目眩酷い時にパソコンは結構キツイんよな…
毛布の上に足を置いて少しでも高くする。お願いやから今日1日アタシの身体頑張ってや…
しばらくして目を開けると目眩は収まっていた。
ゆっくり身体を起こして準備を始める。
食欲はなかったから何も食べずに事務所に向かった。
~事務所~
事務所には誰もいなかった。
バックからメイク道具を取り出しメイクを始める。
まぁ、しょうがない…後はいつも通りのアタシを演じるだけや…大丈夫、演技力には自信あるから。
企画会議終わるまでの辛抱や、頑張れアタシ!
ちょっとだけ休もうと思いみんなが来るまで少しだけ目を瞑る事にした。
〖音羽視点〗
いつも通り事務所へ向かってドアを開ける。
挨拶しても誰の声も聞こえなかった。
ennちゃん来とったんや。しかし珍しいな…事務所で寝る事ないんやけどこの人。
メイクしてるけどいつものennちゃんとちょっと違う気がするしどことなく顔色が悪い…
辛そうに顔を歪めるennちゃん。
…ホンマ無理するんやから…
ennちゃんの目がゆっくりと開かれる。
やっぱり一筋縄じゃ言ってくれんか…せめて俺だけには頼ってほしいんやけどな…
今の俺に出来る事それはennちゃんの様子をしっかり見とくこと
〖enn視点〗
ホンマ危なかったわ…音羽にバレるところやった…あの子普段はちょっと抜けてて天然なところあるけどアタシの事になると何故かめっちゃ鋭くなるんよ…ちょっと体調崩すだけですぐ気付かれるし…バレへんようにしないとな…
その後メンバーが続々と来て企画会議が始まった。
こっちゃんとタローが話しながらホワイトボードに書かれる内容を無心でパソコンに打ち込む。
意識が朦朧としてるアタシは会話に参加する気力はない。
パソコンの文字もボヤけてよく見えない…
こっちゃんに肩を叩かれて慌てて顔を上げる。
何とか怪しまれないように明るく振舞おうと立ち上がった瞬間景色がグラーっと傾いて目の前が真っ暗になったと同時に意識も闇の中に消えていった。
〖音羽視点〗
ミーティング中ennちゃんの様子をこまめに見ているとボーッとしてるしいつもはパソコンを打ちながら自分の意見も言っているennちゃんが今日は一言も発さない。
それだけ辛いんやろな…
こっちゃんに図星をつかれたのか慌てて元気を装おうとennちゃんが立ち上がった瞬間その身体は重力を失ったかのように傾いた。
こっちゃんが寸前のところで身体を支える。
こっちゃんが声を掛けるけどennちゃんはギュッと目を瞑ったまま気を失っている。
こっちゃんがennちゃんをお姫様抱っこしてソファーにそっと寝かせる。
俺はennちゃんの目の下を調べる。
近くにあるクッションをとってennちゃんの足の下に置く。
辺りを静寂が包み込む。
ennちゃんお願いやから1人で我慢しないで…
〖enn視点〗
ゆっくり意識が浮上する。目を開けると
みんなが心配そうな顔でアタシを見つめていた。
やってもうた…せっかく今まで隠せてたんにこの様子だとみんなにバレてもうたよな…
音羽が抱きついてくる。その身体は微かに震えていた。
こんな顔させたなかったんに…
家族…か。そうやな、ここにいるみんなアタシの大切な家族や。
ホンマにごめん…これからは少しずつ頼れるように頑張るから…
だから、これからもそばにおってな…?





















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。