第42話

宇髄の屋敷へ
980
2020/04/21 11:00
須磨
はーいどちらさ…蘭ちゃん!!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ぐはっ、こんにちは須磨ちゃん。
戸を開けられて早々、抱き締められる。


この黒髪はどうやら須磨ちゃんの様だね。
須磨
蘭ちゃん!!どうしよぉ~!!
何故か抱き締めたまま涙目の須磨ちゃん。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
!?…何かあったのかい?
須磨
それが…
と、案内された先は、いつも天元くんの眠る寝室。
宇髄 天元
んぁ…死ぬ…熱ぃ…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
はは、そう嘆いている内は死なないさ。
どうやら熱でも出したのか、


布団で寝込んでいる天元くん。


熱で汗が凄く、着ている寝間着もはだけていた。


あれだね、免疫のない女性だったら、


多分卒倒するね。ただでさえ顔が良いし。
宇髄 天元
…?蘭か。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おや、音で気付かない程、
衰弱してるのかい?
まきを
…!蘭ちゃん、来てたのね!
今お茶を出すよ。
後ろから部屋に入ってきたまきをちゃん。


そんな、気遣いなんて…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あぁ、お構い無く。
…って、行っちゃったか。
どうやら言う前に行ってしまったようだ。


足は流石のくのいち。速いね。
雛鶴
あら、蘭ちゃん、いらっしゃい。
今度は後ろから雛鶴ちゃん。


口を緩めて、笑顔で迎えてくれる。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おぉ、やっと落ち着きの塊が。
雛鶴
??
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あー、いや。そうそう、
しのぶちゃんから薬ね。
雛鶴
!待ってたわ…。
薬の入った風呂敷を渡すと、安堵した様な顔をする。


そんなに酷いものなのかい?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
で、天元くんはどうしたんだい。
死ぬか?派手に死ねなくて残念だね。
宇髄 天元
てんめぇ…馬鹿にしてんのか…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
君の馬鹿みたいな生命力は知ってる。
宇髄 天元
馬鹿に…してんじゃ…ねぇか…!
雛鶴
ちょ、天元様、無理をなさらないで!
ただでさえ高熱で眠れもしないのに…
夜霧 蘭
夜霧 蘭
大変そうだね、症状は?
雛鶴
えぇ、高熱、倦怠感、それから、
腕の傷口が酷く赤く腫れていて。
あぁなるほど、そういうことかい。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
しのぶちゃんからは何て?
雛鶴
どうやら傷口に菌が入ったらしく、塗り薬と飲み薬を服用すれば治る…と。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
治るのかい、じゃあ耐えるのか。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
地味なことは苦手だもんね、
天元くん?(笑)
宇髄 天元
あー…くっそ…言い返す気力もねぇ…
手を軽く握り、おでこに持っていく天元くん。


弱っている天元くんを見るなんて、


人生に一度じゃないかい?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
まぁまぁ、休んでくれ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
治れば皆で温泉でも行ってきんさい。
まきを
おや、それは良いね。
気分転換に行きましょう。
おぼんを持って、戻ってきたまきをちゃん。


その上に乗せたお茶と、そのお供。
須磨
あ、茶菓子!
まきを
こら須磨!
これは蘭ちゃんに出したの!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おや、おはぎじゃないかい。
美味しそうな、


こし餡とつぶ餡のおはぎが置かれていた。
まきを
あぁ、そうなんだよ、風柱様が。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
………ん?
須磨
あの時は凄かったですね…いきなり渡されて凄く怖かったです…。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
待って、実弥くん来たの!?
須磨
はい!来て風のように帰ってしまいましたが!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そ、そうかい。
何だかんだ心配だったのだろうね。
ほ、ほう、あの実弥くんが、お見舞いね…?
まきを
天元様、流石におはぎは辛そうだし、蘭ちゃん食べてくれる?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おや、和菓子は大好きだよ、
ありがとう。
宇髄 天元
俺のおはぎ~…
雛鶴
今食べても戻してしまうだけですよ。また今度にしてください。
宇髄 天元
ちっ…
駄々をこねる子供か、と突っ込みたいところだが。


まぁ耐えようかい。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
じゃあ美味しく頂くね。
宇髄 天元
…で、お前、薬渡しに来ただけか…?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おや、まぁ世間話に過ぎないよ。
雛鶴
それじゃあ私達はお暇します。
まきを
えっ。
須磨
えっ!!
雛鶴
え?
まきを
……行くよ、須磨!
須磨
えぇ~私も~!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
気を使わなくても大丈夫だよ?
雛鶴
うぅん、いいの。
また、爽やかな笑顔を浮かべて、


私に気を使ってくれる。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…そっか。
三人は退室し、雛鶴ちゃんが障子を閉じる。
まきを
須磨ぁ!!
聞き耳立てるなんて外道でしょ!!
夜霧 蘭
夜霧 蘭
はは、おやおや。
須磨
ひぇぇぇー!!
まきをさん痛いです~!!
雛鶴
二人とも静かに!!
病人も居るのに止めなさい!
どうやら聞き耳を立てようとした須磨ちゃん。


それを止めたまきをちゃんが騒ぎ、


雛鶴ちゃんが回収、と。(笑)


その後に、三人の声が遠ざかっていく。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
というか、本当に辛いなら話したくないんだが、そこのところどうだい?
宇髄 天元
…ん?あぁ、まぁ。っしょ。
と、上半身を起こし始める。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
は?
宇髄 天元
起き上がれるっちゃ起き上がれる。
つまり、騙していたということで良いのかな?

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