第8話

7.
1,291
2023/05/10 13:36 更新
ベルモット
シェリー、貴方が会いたがってた子よ






シェリー…ね、どんな人なんだろう






変な薬を作る工場のような場所に連れてこられたけど…どんな天才高校生がいるんだか……



灰原哀(シェリー)
…なんか用?



白衣を着ているショートカットの女の子






ベルモットと同じく大人っぽく、この子はクールな雰囲気があった



ベルモット
この子があなたのコードネーム、あなたの名字あなたよ



ベルモットは右手を右腰に当てて私を紹介する。私は軽くお辞儀をした



灰原哀(シェリー)
私はシェリー…よろしく、名前は今度話すわ






ここの人達…皆冷たいのかな



ベルモット
シェリーは科学者で、この薬を開発したのも、シェリーなの






沢山の薬が機械から流れてくる…何処まで凄いんだろう、シェリーって



話を進めていくと、私は任務に従えと言われて銃を渡され、やがてベルモットはここを立ち去り、シェリーと2人になってしまった



灰原哀(シェリー)
ピストル…?任務ね、人でも殺めるかもしれないわね
あなた
え?






いきなりすぎる言葉で、驚きを隠せない



灰原哀(シェリー)
辛くなったら、この薬を飲めばいい、精神が安定しすぎてびっくりしないで






シェリーに、黒と紫の薬を渡された



あなた
これは…何の薬?






そう訪ねると、この薬を見ながらシェリーは落ち着いた声で話してくれる



灰原哀(シェリー)
簡単に言うと精神安定剤、人を殺めても冷静な判断が取れるわ
灰原哀(シェリー)
計画の変更は難しいの、だから勝手なことをしないように…ね
あなた
…わかった



私はこの現実を受け止めた。そのせいか、心が落ち着いて、鼓動も静かになり、怖くもない…すごく落ち着いている






もしかしたら、シェリーのおかげかも



黒いスーツを着た私と白い白衣を着たシェリーの影が縦長に写った



灰原哀(シェリー)
…また光の調子が悪いみたいね



シェリーは機械の隣にあるライトを見た



あなた
眩しっ



ライトは何をしているのとも言ってそうにしながらこちらを照らしていた



シェリーはライトの向きを変えてよしと呟いた






呟くだけの声も響いて、地獄耳を体感できた気分だ



あなた
ねえ、貴方…高校生?



私がそう聞くと、私の方を見てシェリーはこちらをキョトンとした顔で首を傾げた



灰原哀(シェリー)
そう、私は高校生
あなた
はへ…
灰原哀(シェリー)
どうかした?
あなた
…い、いや、高校生で薬を開発できるほどの頭の良い人なんて…貴方が初めて
灰原哀(シェリー)
あらそう?






シェリーは、ふふんと軽く笑った



そこから私達は日に日に仲良くなって行った
















灰原哀(シェリー)
そんな事も、あったわね






シェリーは懐かしいと呟いて微笑んだ



あなた
でもその時はまさか、あんな苦しい任務があるなんて知らなかった



たまに夢に出てくるの






二度とみたくない…あの光景が



やめてくれ、殺さないでくれと汗や涙を垂らしてる人に銃を向けて、引き金を引く






引き金を引くの、ただそれだけが苦しかった






でもベルモットは私に言ったの、何事も犠牲は付き物って…



それでも、引き金を引いたあの後






返り血が重く感じるの、私をそのまま溶かしてしまおうと言っているような気がして怖かった



私は唾を飲み込んだ



灰原哀(シェリー)
…私はもうあの場所には戻らない



私は哀の事を真剣に見つめた



灰原哀(シェリー)
私には、帰る場所があるの



その答えを、待ってたから



私は哀に抱きついた



灰原哀(シェリー)
詩織…?



私達がまだ組織で活動してた時、貴方はこう言ったんだよ、覚えてる?













灰原哀(シェリー)
私にはもう…居場所なんてない…帰る場所なんて…出迎えてくれる人すら居ないんだから
















ってね



聞いているだけで心が締め付けられるほど苦しかった。その時、涙をぐっとこらえている志保の後ろ姿は、凄く切なかった



でもこうやって今は救いがあるって言ってくれて、私は嬉しい、何より…とても…ね



哀は私を優しく抱き締め返してくれた



温もりが感じられて、また組織にいる時の安心感が私達を密かに包み込んだ



灰原哀(シェリー)
ねえ、詩織も…もう組織になんて戻らない、そうでしょ?



哀は私と目を合わせて、眉を少し下げて聞く



あなた
ごめんね、哀
あなた
私は…戻るの、ベルモットを守る、それが最後の私の任務…命令なの、自分からの
あなた
私は絶対あいつらを殺す…意地でもね
あなた
ジンを動かしてる誰かが、いるはずなの



私はもう終わった事としていたけど、思い返して、自分のやるべき事を自分が自分の胸に今改めて焼き付けた



灰原哀(シェリー)
…そう……でももし何かあれば…言って、いつでも力を貸すから
あなた
うん…ありがとう



そうだ…私は…いつかまた戻らないといけない…



今帰るべき場所は…ここじゃないんだ…



私は静かに涙を流した

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