第2話

ゲームスタート
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2018/12/30 04:04
ウシビ
ウシビ
楽しいゲームの始まりだよ。
花江 結
ゲーム...?
ウシビ
ウシビ
そうさ。とっても楽しいんだ。
ウシビは楽しそうにそう言う。
ウシビ
ウシビ
さて、花江結。君は選ばれた。
花江 結
え...?私の名前、何で知って...?
それに、“選ばれた”って...?
ウシビ
ウシビ
そう。僕らに君は選ばれた。
“僕ら”に...?
ウシビ
ウシビ
おめでとう。





















ウシビはそう言い残して消えた。
















それと同時に、町全体に放送が流れた。


ウシビ
ウシビ
『あー。皆さん、聞こえますかー?』
ウシビ
ウシビ
『これから、皆さんにゲームを
してもらいまーす。』
ウシビ
ウシビ
『ゲームは全てで3つ。この町の人
全員強制参加でーす。』
町がざわつき始める。
ウシビ
ウシビ
『さて。一番最初のゲームは...』
ウシビ
ウシビ
『鬼ごっこでーす。』
ウシビ
ウシビ
『ルールは簡単。僕が町に鬼を
送り込みますので、明日まで
逃げ続けてください。』
ウシビ
ウシビ
『皆さん、楽しんでくださいね?』
ウシビ
ウシビ
『それでは...』




















『ゲームスタート。』



















町の人
一体、何なんだ?
町の人
さぁ。
町の人
誰かのいたずらじゃない?
町の人
それにしてはリアル感があったが...
ウシビ
ウシビ
『皆さん、1つ言い忘れてました。』
町の人
ウシビ
ウシビ
『鬼に捕まったら殺されますので、
気をつけてくださいねー。』
町の人
え?今、殺されるって...
ウシビ
ウシビ
『では、どうぞお楽しみください。』
町の人
え...?
町の人
おい!どういうことだよ!
町の人
ふざけるな!
花江 結
...⁉...逃げて!
町の人たちはパニックになっていた。

だからだろう。誰も気付かなかった。

鬼が近付いてきていることを。





















グシャ

















目の前に血が飛び散る。


















花江 結
...え?
血が飛び散った先には何人もの人が
赤黒い血を流して倒れていた。
町の人
いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
町の人
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
そして、次々と倒れていく。

赤黒い血と悲鳴が混ざり合って
“死”という名の曲を作り上げる。




















ふと、あの夢を思い出す。





家族のうめき声。



「何で助けてくれなかったの?」


「何であのとき来なかったの?」




















背筋が凍る。
















今、この町には家族全員がいる。

このゲームはこの町の人全員強制参加。

















つまり...



















花江 結
お父さん!お母さん!皆!
家に向かって全力で走る。

もし、あの夢が本当だったら...

もし、あの夢の言葉が嘘じゃなかったら...



























ガチャ














家のリビングの扉を開ける。


















花江 結
...
辺り一面の赤黒い血。

家族の無惨な死に顔。

それらが全て、私の目に映り込む。























もう、遅かった。






















花江 結
いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

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