「明日、屋台みんなで行こうね!」
「了解!」
「浴衣着ていこ!」
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屋台か……
叶多になんか買っていこっかな
次の日ーー
「よし!みんな揃ったね!行こっ」
公園に夕方4時に集合して私たち4人はお祭りの屋台へと歩いていた。
「由紀は浴衣着てこなかったんだね」
「そっか…自転車ってことはちょっと遠いの?」
「着いたよ!」
そこには色々な屋台が出ていた
「とりあえず周ろ!」
一周する間に私はわたがし、リンゴ飴、ベビーカステラ、たい焼き、たこ焼き、お好み焼きを買った
叶多、喜ぶかな?
「ちょっと!由紀どんだけ買ってんの?この後、用事あるんでしょ!?」
「すごい量」
「お腹減ったの?」
柚は私が極限状態にお腹が減っていると勘違いしたのかクレープを奢ってくれた。
柚はお金を受け取らなかった
ただ、笑顔で
「ちゃんといっぱい食べるんだよ!」
そう言ってくれた。
柚は気づいていたのかな?
前まではご飯も少ししか喉を通らなかったこと
無理して食べた日にはトイレで吐いていたこと
「「「行ってらっしゃーい!」」」
自転車置き場に行き、買ってきたものをカゴに入れる
クレープは崩れないように上に置いた
あ、あれ買ってこ…
近くのコンビニにより、廃病院へと漕ぎ進めた
今までは病室で待っていたのに叶多は廃病院の入口で待っていた
屋上へ出ると遠くの街の灯りが綺麗に見えた
スマホで思わず写真を撮った
叶多は私のスマホを取ってしまった
パシャッ………
撮らさると同時に叶多は私の頬にキスをした
…………え?
叶多は膨れズラして見せた
反省の色が全く見えない……
私は買ってきたものを見せた
叶多と私は街の灯りを見て色々話しながら一緒に食べた
ロウソクを立て火を灯す
叶多は楽しそうにして花火をした
さっき、叶多が撮った写真を見る
映るはずないと思っていたが薄くだけれど
叶多はそこに映っていた
どうなってんの?
撮らさった写真にお気に入りのマークを押し一緒に花火をやった
……パチパチパチパチッ
ふたつの線香花火が小さく弾ける
最後の花火……
ヒュー……ドンッ!
この日、私は叶多の夢を引き継いだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。