第22話

第17章 梅
161
2020/05/19 13:45 更新
あれから数ヶ月。季節は秋に移り、紅葉が綺麗になってきた。
例の事件に春雨や高杉が関わっていた事もあり、仕事が山積みだ。

『いつの間か"女副長"になっているけど、桜夜が変わらず私の補佐をやってくれているだけまだマシか……』
私は独り言を呟きながら、3日かけても終わらない書類と格闘する。

『……四徹目ありがとーございます(棒』
はい、書類の山をお掃除した代償に四徹しました。ふざけろ最早。
気づけば朝礼の時間が近づいてきていたので立ち上がると、足元がふらついた。

まぁ、寝不足だしな と思い特に気にせず朝礼へ行った。
『ー以上、解散!』
朝礼が終わり、私は部屋へ戻ろうとした。
実は熱があるようで、ちょっと横になろうと思ったのだ。

自室に帰ろうとすると、
「……(○○)、ちょっと待て。」
『?どうしたんですか、土方さん?』
手招きされ近くに行くと、おでこに手を置かれた。突如の事で少し固まっていると、

「お前……熱あるだろ?」
見事に言い当てられました。
心配をかけたくないので、言い訳する。
『いやー、実は素振りを……』
「ずっと部屋にいたの知ってるぞ。」
『あう……』

はぁ、と土方さんはため息をつくと、私をお姫様抱っこをした。
『ちょっと、土方さん!?』
慌てる私の声は無視され、自室に連れて行かれた。

布団に寝かされて熱を測る。
「いつから体調悪かった?」
『今朝です。仕事が片付かなくて徹夜していたので……』
すると土方さんは机の上にある大量の書類を見てまたため息を吐く。

「俺も手伝うって言っただろ?迷惑とか考えないで、頼れ。
……好きな奴に熱出されるとか、慣れてねーんだよ(ボソッ」

最後の方は声が小さかったのと、体温計から出た音で良く聞こえ無かった。
体温計を2人で覗き込むと、7度9分だった。
思っていたより高く、土方さんに

「……お前暫く書類禁止な?」
とまで言われる始末。
その後土方さんが色々持って来て看病をしてくれた。私は桜夜に仕事を頼んだり、少し土方さんと話している内に寝てしまった。

ー真っ暗な空間を小さい女の子が走っていた。
その女の子は血と炎で"あかく"色付いた村を泣きながら駆け抜け、4つの光の元に走っていった。

1つの大きな光と、その周りに幸せそうに漂っている小さな3つの光。
女の子は大きな光を追いかけていた。
だが、その光が急に黒くなり、真っ暗な空間と同化して消えた。

気づくと他の3つの光も大きくなっていて、バラバラの方向へ向かっていった。
そして、女の子は私になっていた。
そこで急に気付いた。

ー今までのは、私の過去だ。
ふと前を見ると、真選組のみんなが見えて、手を伸ばして触れようとした。
だが、あの頃みたいに赤く染まって消えた。

さらに奥の方を見ると、土方さんまで赤く染まって来ていて、消える寸前だった。
『待って!土方さんまで行かないで!!』
そう泣き叫ぶと、急に声がした。
「(○○)、(○○)!」

ーそこで現実世界に戻された。
嫌な汗が流れていて、体調とは別に気持ち悪かった。
頬は涙で濡れていて、土方さんが心配そうな顔で私を見つめていた。

「大丈夫か?酷くうなされていたから……」
大丈夫です いつもならそう言った。
でもどうしようも無く涙が溢れて来て、私は抱きつきながら泣いてしまった。

『怖かった……また、大切な人が何処かへ行っちゃうんじゃないかって……!』
土方さんは何も聞かず優しく頭を撫でてくれながら
「大丈夫、大丈夫だ。俺はお前を置いて何処かに行ったりしねぇよ。」

『本当に……?』
「あぁ、だからそんなに泣くな。
やっぱ(○○)の……好きな奴の笑っている顔が好きだから」
「何も聞かないから……泣きたい時は泣け。辛い時は一言言え。俺が一番近くで支えてやるから。」

ずるい、ずるいよ。
今、そんな優しい言葉をかけられたら、余計泣いちゃうじゃん……!
私はその日、土方に抱きつきながらずっと泣いていた。

土方はずっと私を撫でてくれていた。
その優しい大きな手が、大好きだったあの人達によく似ていたのを、私はきっと忘れないだろう。

プリ小説オーディオドラマ