私たち3人は、無事に家に帰ることが出来た。
私と詠太は同じ家に住んでいる。
奏くんは、途中で道を別れて、しっかりと帰っていった。
私と詠太は、家へと帰り、リビングへ行く。
もうここからは、私たち二人の時間。
安心できる時間。
親は…どちらともいない。
母は病死。父は事故死。
別に、離婚とかそういうんじゃない。
あとは任せたよ とでも言うかのように、私が残された。
だから、詠太の事はちゃんと守るんだ。
ご飯は交代制で作っている。
昨日は私が作った。
そして今日は詠太の番。
けど今日は…色々詠太に救われたから私が作る。
色々救われた。こんなこと言っても、詠太は全て否定するだろうから、言わないでおこう。
野菜を切る手を止めずに、ただ返事をする。
その言葉をきいて、野菜を切る手を止め包丁をガタッと置く。
その声と音に驚き詠太は少し肩を揺らす。
すると詠太は口を開いた。
唯一1人の女の子友達!?
もしかして…好きな子?
けど、驚いたな…
女の子友達ができるなんて。
どんな子なんだろ?
穏やかな子かな?
意外と…明るい子だったり。
……そういえば杏果ちゃん元気かな。
小学校ちゃんと通えてるかな…
なんだか…すっごく楽しみ。
どんな子なんだろ…考えるだけでワクワクする。
そんな事を思ってるうちに。
どんな子なのか考えてるうちに…晩御飯が出来上がった。
出来上がった晩御飯をテーブルへと運び、箸と水も置く。
そうして、私と詠太は向かい合って椅子に座る。
私たちは手を合わせて箸を取り、食べ物を口へと運ぶ。
こんな風に…普通の生活ができるのか家だけだ。
もし普通の生活が学校でもできたら…どれだけ幸せなのか。
そんな事考えてたら、料理が不味くなってしまう。
家にいる時は…その事について考えるのはやめよう。
詠太といる時間を大切にしていこう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。