カンカンカンカンッ
鉄の階段を駆け上がる二つの足跡が聞こえる。
しかしそんな音もあなたの中では自分の心臓の音に掻き消されていた。
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
この事件の犯人があの廃ビルの一階の、現場の裏路地の窓に繋がっている部屋に居ることがわかった。
しかし何故か私たちは犯人がいると思われる廃ビル、ではなく、その隣のビルの階段を上っているんだ…!
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからない…。
というかこのビルも過疎気味でエレベーターがないって…。マジかよ…。(キレ気味)
あ…もうタヒんじゃう…。
冷静な乱歩さんの声を聞いて私は止まった。
正直言って6階分の階段を一気に駆け上って行くのはとてもキツく、身体が鉛のように重かった。
にやりとした顔で乱歩さんが私を見る。
一体この顔で何人のオタクを葬ってきたのだろう。私も直視してたらこの場から10mくらい弾き飛ばされるところだった。
そう思いながら私は荷物の中のトランシーバーで箕浦警部に電話をかけるのであった。
ガチャリと屋上への扉を開ける。
そこにいたのは1人の大きなバッグを持った女性と男性だった。
私はその女性を見て絶句した。
何故なら——
狼狽える鯱野ともう1人の男性、いや男性というにはまだ若く、さわやかな好青年と言う印象を受ける人物。
それを見てゆっくりと乱歩さんが口を開く。
俯いている鯱野。恐らく今後の自分達の状況を察したのだろう。
明らかに、動揺した。
しかしここで私はある一つの疑問に直面する。
鯱野が持っている大きな鞄を指差す。
そんな時、無線機からひとつの通信が入った。
ギリッと悔しさからか、唇を噛んだ鯱野。
会話を聞いていく内に状況を理解した様子の青年の顔は曇っていった。
そんな中青年は言った。
悲痛な声と頭を下げる姿勢から、彼は真面目な人物なんだろうと私は思った。
しかし私は、そんな彼達が警察に連行された行くのを、ただただ呆然と眺めることしかできなかった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。