第21話

18
858
2024/05/06 16:11 更新
カンカンカンカンッ


鉄の階段を駆け上がる二つの足跡が聞こえる。

しかしそんな音もあなたの中では自分の心臓の音に掻き消されていた。
あなた
(キッッッッツいわ!と言うか乱歩さん全然息切れてなくね?さすが神!というかもう階段連続で5階分くらい駆け上ってるんだけど!?)
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

この事件の犯人があの廃ビルの一階の、現場の裏路地の窓に繋がっている部屋に居ることがわかった。

しかし何故か私たちは犯人がいると思われる廃ビル、、その隣のビルの階段を上っているんだ…!

な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからない…。
乱歩さん
あなた!遅い!
あなた
らッ…プハァ、らんぽ…さん、は、はやっヒィヒィ、速い…!ほ、本当に…ゼーゼー、非、戦とu…ウップ、員なんですか!?
というかこのビルも過疎気味でエレベーターがないって…。マジかよ…。(キレ気味)

あ…もうタヒんじゃう…。
乱歩さん
あなた止まって。
あなた
ゼーハー、ゼー、ハー、え、ヒィ、ここ?
冷静な乱歩さんの声を聞いて私は止まった。

正直言って6階分の階段を一気に駆け上って行くのはとてもキツく、身体が鉛のように重かった。
乱歩さん
取り敢えずあなたは箕浦君に電話を繋げといて。そろそろ来るよ。
あなた
え、来るよって誰が…。
にやりとした顔で乱歩さんが私を見る。
乱歩さん
もちろん、真犯人だよ。
一体この顔で何人のオタクを葬ってきたのだろう。私も直視してたらこの場から10mくらい弾き飛ばされるところだった。

そう思いながら私は荷物の中のトランシーバーで箕浦警部に電話をかけるのであった。
あなた
乱歩さん、電話繋げました!
乱歩さん
よし、それじゃあ扉を開けるよ?
あなた
はい!
ガチャリと屋上への扉を開ける。

そこにいたのは1人の大きなバッグを持った女性と男性だった。
あなた
え、な、なんで…
私はその女性を見て絶句した。


何故なら——
























あなた
鯱野…さん?
鯱野しゃちの しよ (秘書)
なん…で…、ここに…?
しゃ、鯱野さん、こ、この人たちは…?
狼狽える鯱野ともう1人の男性、いや男性というにはまだ若く、さわやかな好青年と言う印象を受ける人物。

それを見てゆっくりと乱歩さんが口を開く。
乱歩さん
今回の事件は面白かったよ。二重の誘導作戦は実によく出来たものだった。
乱歩さん
だけど相手が僕じゃ、そんな作戦は意味を持たない。
鯱野しゃちの しよ (秘書)
……
俯いている鯱野。恐らく今後の自分達の状況を察したのだろう。
鯱野しゃちの しよ (秘書)
いつから、分かっていたんですか…?
乱歩さん
あの血の足跡から犯人を探すために防犯カメラの映像を見た時あたりだよ。
鯱野しゃちの しよ (秘書)
…!
明らかに、動揺した。

しかしここで私はある一つの疑問に直面する。
あなた
え、でも犯人候補はあの3人のみだったのでは…?
乱歩さん
“あの足跡をつけられるような靴を履いている人”に限定した時にあと3人のみだった、というだけだよ。
乱歩さん
本当はもっと多くの人が通っている。
乱歩さん
まぁ、それも今君が持っている鞄を調べればハッキリすることだけどね。
鯱野が持っている大きな鞄を指差す。
鯱野しゃちの しよ (秘書)
!!
そんな時、無線機からひとつの通信が入った。
あなた
乱歩さん!警察の突撃準備が整ったそうです!
鯱野しゃちの しよ (秘書)
け、警察!?でも今は…。
乱歩さん
君があの廃ビルの一階の部屋に誘導した警察だけど、僕が状況を説明しておとり役と捕獲役に分けてもらった。
ギリッと悔しさからか、唇を噛んだ鯱野。

会話を聞いていく内に状況を理解した様子の青年の顔は曇っていった。

そんな中青年は言った。
…分かりました。投降します。
鯱野しゃちの しよ (秘書)
そんな…!
いや、投降します。でも、鯱野さんはどうか見逃して下さい。そうじゃないと、鯱野さんは…!!
悲痛な声と頭を下げる姿勢から、彼は真面目な人物なんだろうと私は思った。

しかし私は、そんな彼達が警察に連行された行くのを、ただただ呆然と眺めることしかできなかった。

プリ小説オーディオドラマ