第21話

ウゴキダスオモイ
550
2020/09/25 11:01

「先生、日誌です。」



「おーお疲れ。じゃあまた明日」



「はい。さようなら。」







…………。



頭から離れない。







ずっと。







2人が抱き合っていたなんて…。









…!だめだめッ!やめよう。




いくらわたしが考え込んだってなんにも、ならないんだから。














……あ、日向さん。






中庭の木陰で静かに絵を描いていた。











だめ。

聞いてしまったら、日向さんを傷つけてしまう。







…だけど、












「あの…っ」



「……は、い」



「あ……えっと…。部活?」



「はい」






「…上手だね」



「…あ、ありがとうございます」









……ねえ、日向さん。









「…悠とは、どう?」



「え…と。…あの…」











もっと、ゆっくり、










「一ノ瀬先生とは?」




「……えっ」











立ち止まっていいんだよ。









「ごめんなさい。偶然知っちゃって…」



「…っ」





「…悠を傷つけないでね。…日向さん、自身もだよ。」












_______
____


はぁ…。言ってしまった。




こういう落ち込む日は大抵、夜自分の家の窓の外から空を眺める。




そうすると、なんだかちっぽけな感じがして心が軽くなる。






「はぁ…。」



「…あれ?あなたや」



「え?」





悠!




悠も自分の部屋の窓を開けたみたいで、お隣さんあるある。


窓を開ければ会話ができるが発生した。






「…なんか、久しぶりやね?」


ど、どうしよう。








「そ、だね。…ちゃんと毎日遅刻しないで行けてる?」



「行けてるでー。ギリギリやけど。…最近は、上手にネクタイも結べてる。」








ズキ…………。







「…そっか!よかった」





「あなた、ありがとう。ずっと、ほんとに…ありがとう。」





……悠




「……あの、」






「悠ーまだ起きてるのかー?」


「あ、父さんもう寝るで!じゃああなたおやすみ」




「…うん。おやすみ」





……これでいいんだよね。

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