【ゲンside】
千空ちゃんから頼まれた仕事を終え、
石神村を歩いて行く.
その時、村の外れの、
小さな丘が目に入った.
今日は天気もいいので、
少々日向ぼっこをしようと思い、
小さな丘の方向へ歩き始めた.
小さな丘の麓まで来ると、草木が
動く音と共に、白い触覚のような
髪の毛が、サラサラと風に乗って
動いた.ゆっくりと足を使って
丘の上まで登る.
そこには、大の字で寝転んでいる
あなたの偽名ちゃんが目に入った.
気がつけば、そのように話しかけていた.
その言葉に気づいた彼女は、
俺の名前を呼んで、微かに笑い、
“ 細い右腕 “でゆっくりと
手を振ってきた.
そんな彼女を横目に、隣に大の字で
横になった.
そうして、最初に沈黙を破ったのは
俺の方からだった.
何故そのようなことを聞いたのか.
それは彼女の容姿から聞きたいことが
出来たからだった.
先程の手を振ってきたあの“ 右腕 “.
170cmほどある彼女の身長からは
考えられないほどに細い.
そして、微かに微笑んだ際の“ 苦笑 “.
あれは、無理してでも笑っている
とメンタリストならではの本能が
語っていた.さらに、挙げ句の果てには
目の下にある“ 濃く色づいた隈 “.
この3点セットが、この言葉をかける
根拠の“ 一部 “であった.
彼女は口から言葉を漏らし、ただ
唖然とするだけだった.
そんな彼女に、俺は再度問いかけを
送ることにする.
どうやら予想的中のようだ.
俺はゆっくりとあなたの偽名ちゃんに
歩み寄り、ゆっくりと話を聞こうとする.
彼女は、ほとんど動かない表情筋を
動かし、悩んでいる物事について
話を始めた.
話を聞き、自分自身もっと早く
あなたの偽名ちゃんに助け舟を
出せなかったことに、少々後悔する.
そんな俺を目の前に、彼女はこう言った.
その言葉を途中まで聞いて、俺はつい
言葉を遮り、そう言った.
彼女は、何を言っているのかわからない
という顔をしていたが、俺が指摘すると
その全ての意味を悟ったようだった.
俺は、更にそれ以外の悩みでもあるのか
そう聞いた.だが、彼女は何も答えず
ただただ、俯き、声が出ていない口から
何かを言っているようだった.











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。