第30話

過去編4
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2024/08/22 10:53 更新
あれは10年くらい前だったか。


一度だけ、

隣の部屋から泣き声が聞こえたことがあった。
もちろんその涙の主は兄、阿部亮平。
多分、あの頃の彼は何もうまく行っていなかった。

難関私立大学に入ったものの、アイドルとしての活動とバランスが取れない。

しかもアイドルとしてもなかなか振るわない。

確か交友関係でもいろいろトラブルがあったはず。
まだ小学生だった私は、兄の苦しみを幼いながらになんとなく理解していた。
自分には突出したものがない、だから武器を手にしようといった先でもうまくいかない。


自分には何もできないのではないかという無力感。行き場のない、自分に向けるしかない怒り。


このままでは何も始まらない、それどころか終わってしまうという焦り。

分かっているのに、全部わかっているのにうまくいかないもどかしさ、失望、悲しみ。



私はあぁはなりたくない。
兄を心配する気持ちでも、兄を見下す気持ちでもなかった。

身勝手で、自分中心なそんな思いを感じていた。



完璧でいよう。

誰にも隙をさらすことなく、欠点もなく、悲しむこともない。

そんな人間になれば、彼のようなことにはならない。


そんな人生楽しくなさそうだと我ながら思った。

でも、
そんな人生になってもいい。

何が何でも兄のようにはならない。


そんなガキの決意から、私の完璧ライフは始まった。
まずは学力。

一日12時間勉強という小学生では稀な量をこなし、中学入学時にはすでに高校範囲を仕上げるという偉業を成し遂げていた。

資格でいえば、英検は準一級まで持っている、年齢詐欺を疑われる子供だった。
次に、というかこれはそもそも得意だったものだが、運動。

中学校ではチームプレイを学ぶためにバスケをやった。

高校では不意にやりたくなった剣道をやっていた。
そして一番難しかったのが人間関係。

やはりどうしても嫌われてしまうことはあった。
しかし、圧倒的な実力をもった一種の問題児であった私にはかなわないと理解したようで。

たくさん素晴らしいご縁があった。男性関係を除けば、の話だが。


兄への軽蔑から始まった「完璧」。

現在もそのまま、私は完璧、だろう。
あなた
目覚め悪…
夢の中でも自分のヤな面を見せられてどうなってんだこの頭。
今日は罰として激辛ラーメンだな。
Shota
ひま?
Shota
夜どっか連れてってー
激辛だけどいいのかな?

激辛とは言わんとくか。
.
ラーメン
.
場所送っとく
さ、今日も学生するか。


最近外食多いから栄養が不安、そんなあなたに!

バナナ食っとけ。

バナナ食べればすべてが解決すると思ってるんだよね。
朝食は絶対に抜いちゃダメ。
プロテイン置き換えとかは別にいいんじゃないとは思うけど、

なんか食べないとダメ。私はバナナ食べるけどね。
あと痩せたいんだったら姿勢が大事なんだよ。

いろいろググったらちゃんと出てくるから、痩せたいときは正しい姿勢調べて。

まぁ、姿勢が問題じゃなかったらあとは運動しろって話なんだけどね、あとバナナ食っとけ。




バナナのこと考えてたらあっという間にバナナを食べ終わった。

今日激辛だからなぁ、白はまずいか。
紺色かな。気分的に。


今日の講義…あの教授か、ちょっとだるな。
なんて雑念だらけの頭で今日も玄関のドアを開けた。

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