…見つけて欲しい…?
隠れているのに、ですか?
うん。だってあいつは…心の底では、主様に迎えに来て欲しいはずだから
手紙で自分の過去を教えたのも…黙って消えたら、主様を悲しませるから
自分が嫌われてでも、本当のことを伝えようとしたんだ
それだけ主様のことが大切なんだよ
だからこそ、心の底では…
主様に受け入れて欲しくて、たまらないと思う
あいつはきっと、シュタイン家の屋敷にいるよ
だってもし、そこに主様が迎えに来てくれたら…
自分の過去を含めて…主様に、全部受け入れてもらえるってことだから
…まぁあいつ自身は、自分の本心に気づいていないかもしれないけど…
でも絶対、主様が来るのを待ってると思う
ナックはそういうめんどくさいヤツだから!
長いこと一緒にいると…イヤでもわかっちゃうんだよね〜
フフ、そうだね
私もラムリくんと同意見だよ
根拠としては、正直薄いけれど…ナックくんなら、きっとそこにいる気がするんだ
…つまり、勘ということか
確かに直感は大事だよね
ずっと一緒にいた二人の意見なら、特に
…そうだな
どっちにしろ、他に有力な候補もないんだ
だったらナックの実家に、俺らで押しかけるしかないだろ
ヨシっ!ということは、すぐにローズタウンに出発ですね!
主様の顔を見れば、きっとナックさんだって…
待ってください。まだ一つ、問題が残っています

…?

どういうこと?
はい、これは以前にも申し上げたことですが…
別の殺し屋組織が、未だ健在である以上…
主様を屋敷から連れ出すのは、危険すぎます
む…確かにそうだな
あ、それなら…執事全員で、主様を護衛しながら向かえばいいんじゃねぇか?
オレ達で周りをガッチリ固めれば、流石に誰も手出しできないだろうし
…それはそうだが…大人数で動けば、殺し屋にこちらの動きを悟られることにもなる
屋敷での警護と違って、待ち伏せに警戒しつつ進む必要があるだろう
無論、慎重に進めば安全の確保は出来るだろうが…
ルカスさんの話では…残された時間はあまりないんだよな?
その通り
可能な限り、急いでローズタウンに向かいたい
それも殺し屋達に悟られないようにね
そこで…
フィンレイ様に頼んで…屋敷の周囲を、大量の兵士で固めてもらうことにしたんだ

グロバナー家の兵士に?
はい
実は最近、貴族の間でこんな噂が流れていたんです
「悪魔執事がグロバナー家に無断で、殺し屋組織に報復している」と
だからその噂を逆に利用して…
「グロバナー家が警備の名目で、デビルズパレスを監視するらしい」という噂を流しました
間も無く屋敷の周囲を、グロバナー家の兵士が取り囲むことになります
そうなれば…
誰が見ても、「主様は屋敷の中にいる」と思いますね…
多分、殺し屋達も
そういうこと
その間は主様が外に出ても、しばらくは安全というわけさ
なるほどねぇ
となると、全員で外出ってわけにはいかないねぇ
こっちの動きを悟られないよう、馬車一台で動くとして…主様に同行する執事は、四人ってとこか
そうですね
となると護衛のメンバーは…
俺の意見ですが…これまでと同じ四人を推します
…………!
えっと…ボクが聞くのも変だけど……
本当にボクでいいの?
この前、目の前で主様を攫われちゃったけど…
……それをいうなら、我も同じことだ
ううん
あの時はボクが、シロシロの言うことを聞かなかったからだよ
……
「主様の命を危険に晒す」…それは、あってはならないことだ
ただ今回の件に関しては…悪魔執事の弱みをついてきた敵が一枚上手だった
だが、奴らの手口が明らかになった今…もう同じ失敗は繰り返さない……だろ?
それは……うん
ルカスさん、ハナマルさん、シロ…
この三人は、対人戦の経験も豊富だし…ナックが、最初に護衛に選んだのも納得だ
だから今回も…俺はみんなに任せたい
やれやれ
そこまで言われたら、期待に応えるしかないねぇ
ええ
真面目な時のハナマルさんの実力は、誰よりも信頼しています
そうだな…この四人なら、俺も異論はない
自信を持て、ラムリ
去年、スリックの街でマフィアに囲まれた時も、お前は一人で主様を守った…
今のお前の実力を疑う奴は、ここにはいねぇ
それに何より…ナックのことは、お前達3階の執事が一番よくわかってるだろ
ボス……
……わかった
では後は、お前次第だ

私?
ああ。我らは一度、失態を犯している
……そんな相手に守られるのは、不安ではないのか

何も不安はないわ
……そうか
お前がそう言うのならば…我も異論はない
今度こそ、誰にも手出しはさせぬ
フフ…それじゃあ護衛のメンバーは、前回と同じで行こう
あっ、あの!僕もご一緒していいでしょうか…
ナックさんのことも心配ですし…それに主様のことを、僕もそばでお守りしたいです!
ああ、いいんじゃねぇか
ムーなら偵察も、見張りもできるし
膝の上に乗ってりゃ、馬車の席も埋めないしな
なっ、主様

よろしくね、ムー
は、はい!がんばります、主様!
今度こそ主様のそばを、絶対に離れませんからね!
さてと…それじゃあ、作戦の説明は以上だ
手配した兵達が、そろそろ到着するはず
みんな、留守は任せたよ
主様が屋敷にいるよう、うまく見せかけて欲しい
わかりました
本来であれば、主様のそばでお守りしたいところですが…
今回は留守役も大事ですからね
皆さんと連携して、必ず周囲の目を欺いて見せます
どうかお気をつけて、主様
ナックくんのこと…よろしくお願いしますね

ええ、任せて
それから少ししてグロバナー家の兵達がパレスの周りを固める中私達は密かに屋敷を抜け出し馬車に乗り込むとシュタイン家の屋敷があるローズタウンへと馬車を走らせたのだった
No side
シュタイン家の寝室で、ナックは遠征の準備を進めていた
……ふぅ……遠征の準備はこんなものでしょう
準備といっても、大した事はしていませんが
変装用具の調達に、武器の手入れ…
これならスリックの街にいた方が、楽に調達できたかもしれませんね
……冷静に考えてみれば……
自分とは縁もゆかりも無い土地に潜伏する方が、安全なのでしょうが…
仕事の後ここに戻って来てしまうのは…それだけ昔の習慣が、身に染み付いていると言うことでしょうか
……とはいえ、いつまでも過去に囚われている訳にも参りません
私はもう殺し屋ではないのですから…シュタイン家の歴史とも、そろそろ決別すべき時…
…明朝の出立と共に…この屋敷も燃やしてしまいましょう
忌まわしい歴史も、過去の記憶も…全て灰に返してしまわねば…
……さて
屋敷を一回りしてから、寝るとしましょうか
…私しかいない屋敷で、見回りをする意味などありませんが…
これをしないと落ち着きません
やはり習慣とは、簡単に変えられないものですね…

❤️×15と💬×3でネクスト
おまけ 主様のメイド服

はーい、ではお次は地下の皆さんのです
次にあなたの朱音の持ってきたワゴンを見た執事三人も表情が緩む
ラト、身を乗り出しそうになってるから
おや、フルーレも食堂に来る前すごくソワソワしていましたよね?裁縫中もずっと時計を何回も……
言わなくていいから!
…二人とも
いつものトーンで止めようとするミヤジに二人は慌てて前を向く

そんなに楽しみにしてくれているなんて本当に嬉しいわ
喧嘩したことに怒らない、これぞトラブルが絶えず怒るだけエネルギーの無駄な環境の白鳥組クオリティ…
(怒られないことで余計罪悪感が……!)

とりあえずこちらが地下の皆さんの分でーす
そしてまず、ミヤジの料理は……
これは、白身魚の蒸し焼きかい?

そうそう!
それにスパイスも使っているね?

正解!

最近寒いってよく言ってたから暖まったらいいなって………
ありがとう主様、確かに暖かいね

そっか

あ、いけないいけない、フルーレのも早くしないとふやけちゃう
ふやける…?もしかして…!
何かを察したフルーレの目が一気に輝く

ふふふ、クルトン山盛りコーンチャウダーです!
すごい…!クルトンが綺麗に山積みになってて、全然スープを吸って湿ってない…!

ふふふ、クルトンもお高いやつだからさ
主様、私のはなんなのですか?これは揚げた肉ですか?

あはは、そう思うでしょ?でも切ってみて?
ラトが不思議そうにカツレツを切るとすぐニコニコ顔に変わった
ラトの鼻をついたのはあのパセリ特有の香りだった
そう、あなたの朱音はパセリバターを仕込んでいたのだ
鶏肉もタンパク質と栄養豊富、それに加えてパセリを加え食欲を引き出しだのだ(添えてるパセリも山盛り)
ただシンプルに皿が緑まみれでフルーレはドン引きした
パセリがたくさん…くふふ、最高ですね♪
(………ボスキさんが嫌そうな顔してる…野菜嫌いだもんな…)
…主様、正気か?芝生でも毟ったのか…????
ふふ……ボスキさん、羨ましいんですか? あげませんよ、主様のくれたパセリですから
いらねえよ!!!
ボスキはそう言いつつ必死に自分の分に用意された野菜を必死に口に運ぶのであった

ちょっとだけボスキ出しました…
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