~あなた’s side~
もう2度と会うことはないと思っていた
そう思って、あの日、あの場所を出てきたのに…
目の前に現れたのは、ずっと会いたかった人だった
1年間、忘れたことなどなかった
忘れるどころか、一緒にいた時よりも色濃く思い出は残っていて
その思い出だけに支えられて、今日まで生きて来られた
TVをつけると、そこにはいつもメンバーの誰か彼かが写っていて
あのタイミングで離れたことを正しいと思ってた
光の中を歩く彼らの側に、私はいてはいけないから
……なのに、なぜ……?
なぜ、また出会ってしまうの?
照史さんの言葉に涙が止まらなかった
ずっと欲しかった言葉
ずっと夢見てた言葉
でも、その言葉に頷くことが出来なかった
私じゃ照史さんを不幸にしてしまう
そんな思いが心の隅に根付いて消えないから…
ふと顔を上げると、照史さんは優しく微笑んでいた
なんで、そんなに優しいんだろう…
こんな私なんかに
一言、思いを伝えればいいんだけど、その勇気が私にはなくて
怖かった、また夢をみてしまうことが
そして夢から覚める日が
近くにあったメモに、電話番号を書いて私に渡してくれる
私はどうしたらいいんだろう…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。