諦めた千早達と屋上で落ちてくる隕石を嬉しそうに見ている成瀬さんが映っていたが、映像が切り替わると隕石がアップで映し出される。
辻君の呟きに俺は顔を上げてみると、確かに段々と大きくなる赤い光が見えた。
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第2ゲーム『団体戦』
・抽選で決めたチームで戦う
・降参有り
・相手チームが全員死亡、戦闘不能、または降参
で勝利
・相手チームに寝返ることも可能
・1チーム2回ずつ戦う
・フィールドはビルの多い街中
・外野は競技場にて観戦
・勿論、外部からのコーチングは禁止
・活躍が1番なかったチームの中で戦い、2名死亡
【各チーム1回に限り、ユリか捺祢のどちらかをチームの1人と交代させて出場させることが出来る】
第一試合、C 対 F
第二試合、A 対 D
第三試合、B 対 E
第四試合、A 対 C
第五試合、E 対 F
第六試合、B 対 D
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カメラの向きが変わると音を聞き取りやすくする為かイヤホンを押さえているユリが映った。
少し離れたところに座っていた笧三君が大きな溜息を零した捺祢にそう聞いた。
確かにそこは気になるところだ。
偉人の能力を持つ千早でさえ無理だと悟ったあの隕石を捺祢の能力でどうにか出来るのか。
俺達の反乱を止める為に持っている能力だとしても、相手が隕石になるとは思わないはず。
赤くなってきた空を見た捺祢が分かりやすく溜息を吐くと、競技場に置いてあったサッカーボールを何処からか持ってきた。
ボールを押し付けて捺祢は席に座る。
辻君はやる気満々の様子で立ち上がると席と席の間の通路に立って、空を眺めた。
上空に見えた隕石がかなり近付いてきたが、辻君は当てるタイミングが分からないのか首を傾げる。
サッカー部の代々木先輩が驚くのを他所に、辻君はサッカーボールを“片手”で掴むと風を切りながら剛球を空に向かって投げた。
サッカーボールが隕石の熱に勝つと…………えっ?
隕石は上空でこなっごなに粉砕。
手も触れず、サッカーボールも当たってはいない。
笧三が指を落ちてくる粉末化した隕石に向けてフィールドを指すと、隕石の粉は指した場所に落ちていき1つの大きな砂山となった。
ぼんやりと砂山を見ていた酒葉さんが呟く。
すると、千早達の方の映像が途切れ、他の映像に変わったのか焼け野原となった街が映し出された。
焼け野原になった街。
でも、ユリに近い映像の下の方は慎の言う通り隕石が落ちていないのか綺麗な地面。
さっき捺祢が何かをしたようにユリも何かをして守ったんだろうけど……謎過ぎる。
そう捺祢は眠そうに欠伸をしながら、いつものように指を鳴らした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。