第34話

XXの真偽 XX
109
2020/04/16 11:00
諦めた千早達と屋上で落ちてくる隕石を嬉しそうに見ている成瀬さんが映っていたが、映像が切り替わると隕石がアップで映し出される。
ユリ
『現場中継のユリで〜す!只今、冴羅ちゃんが能力を駆使して隕石を落とすという荒業を使ってもう試合が終わりかけてるんですけど〜…』
ユリ
『…これを見ているみんながいる競技場って、“街の中”にあるんだよね。』
楠木くすのき しん
ん?てことは…
瀬戸口せとぐち りゅう
ここも隕石で消えるんじゃね?
つじ 林太郎りんたろう
ふっつーにここからでも上向けば、空遠くに落ちてくる隕石見えてますよ。
辻君の呟きに俺は顔を上げてみると、確かに段々と大きくなる赤い光が見えた。
千島ちしま 瑞樹みずき
…巻き込まれて死ぬじゃん。
楠木くすのき しん
嘘だろ!?おい、音羽!!こっちに被害って違反じゃねーのかよ!?
音羽おとは 捺袮なつね
プリント見ろ。
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第2ゲーム『団体戦』

・抽選で決めたチームで戦う
・降参有り
・相手チームが全員死亡、戦闘不能、または降参
で勝利
・相手チームに寝返ることも可能
・1チーム2回ずつ戦う
・フィールドはビルの多い街中
・外野は競技場にて観戦
・勿論、外部からのコーチングは禁止
・活躍が1番なかったチームの中で戦い、2名死亡

【各チーム1回に限り、ユリか捺祢のどちらかをチームの1人と交代させて出場させることが出来る】

第一試合、C 対 F
第二試合、A 対 D
第三試合、B 対 E
第四試合、A 対 C
第五試合、E 対 F
第六試合、B 対 D



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音羽おとは 捺袮なつね
馬鹿のおかげで見事に【外野への危害は禁止】ってのが抜けてるからルール上は違反にならない。
くれ 葉月はづき
ほんとだ!個人戦と地味に違う!!
楠木くすのき しん
いやいやいや、だとしてもよ?関係ない俺達がここで死ぬのおかしくね?
音羽おとは 捺袮なつね
別に生き返る。
楠木くすのき しん
そういう問題じゃなくて…
音羽おとは 捺袮なつね
はぁ……何か文句あるなら、ここで話してることは聞こえてるはずだから馬鹿に直接言え。
楠木くすのき しん
おい、ユリ!!!
ユリ
『はいはい?』
カメラの向きが変わると音を聞き取りやすくする為かイヤホンを押さえているユリが映った。
楠木くすのき しん
これ、俺達死ぬの?
ユリ
『それがこっちとしては楽だけど嫌?』
酒葉さかば みのり
嫌ですよ〜!!生き返るとしても巻き込まれで死にたくないです!!
ユリ
『えぇぇ〜…』
千島ちしま 瑞樹みずき
…お前のミスでルールから抜けてるなら原因のお前がどうにかしろよ。
ユリ
『……まっ、そーですね。じゃ、捺祢!私、そっちに被害をもたらす隕石割るからさ。競技場に降ってきた隕石どーにかしてね〜!』
音羽おとは 捺袮なつね
おい、ちょっと待 ────
ユリ
『ではっ、私でした!駄目だったら捺祢に文句お願いします!』
音羽おとは 捺袮なつね
…………アイツ、逃げやがったな…
笧三しがらみ たく
まず、あんたの能力で隕石をどうにかすることは出来んの?
少し離れたところに座っていた笧三君が大きな溜息を零した捺祢にそう聞いた。

確かにそこは気になるところだ。
偉人の能力を持つ千早でさえ無理だと悟ったあの隕石を捺祢の能力でどうにか出来るのか。

俺達の反乱を止める為に持っている能力だとしても、相手が隕石になるとは思わないはず。
音羽おとは 捺袮なつね
知るわけない。能力を試す為にユリが色々とやってくれたけど、流石に隕石なんて出て来なかった。
笧三しがらみ たく
へぇ…
音羽おとは 捺袮なつね
ったく、めんどくさいな……
赤くなってきた空を見た捺祢が分かりやすく溜息を吐くと、競技場に置いてあったサッカーボールを何処からか持ってきた。
四月一日わたぬき 柊也とうや
めんどくさいって言いながらもちゃんとやるんですね…
くれ 葉月はづき
それ分かる…
音羽おとは 捺袮なつね
辻林太郎、これを隕石見えてきたら当たるように投げるか蹴ってぶつけて。
つじ 林太郎りんたろう
僕が?よく分からないけど了解!
ボールを押し付けて捺祢は席に座る。
辻君はやる気満々の様子で立ち上がると席と席の間の通路に立って、空を眺めた。
千島ちしま 瑞樹みずき
お前は何もやらないのかよ。
音羽おとは 捺袮なつね
まぁ、見てれば分かる。
上空に見えた隕石がかなり近付いてきたが、辻君は当てるタイミングが分からないのか首を傾げる。
つじ 林太郎りんたろう
んー、近くはなったけどあとどのくらい待てば良いんだろ〜……
音羽おとは 捺袮なつね
当たるならいつでもいい。
つじ 林太郎りんたろう
あっ、じゃ辻林太郎!いきま〜す!!!
代々木よよぎ あかつき
サッカーボール片手で…
サッカー部の代々木先輩が驚くのを他所に、辻君はサッカーボールを“片手”で掴むと風を切りながら剛球を空に向かって投げた。
つじ 林太郎りんたろう
いい感じ!
音羽おとは 捺袮なつね
なら、問題ない。
サッカーボールが隕石の熱に勝つと…………えっ?
瀬戸口せとぐち りゅう
わっ、すげぇ!
千島ちしま 瑞樹みずき
マジかよ…
隕石は上空でこなっごなに粉砕。
手も触れず、サッカーボールも当たってはいない。
音羽おとは 捺袮なつね
砂の雨は耐えろ。
笧三しがらみ たく
…あんたが手を出したやつなら別に外部からの手助けに入らない。
笧三が指を落ちてくる粉末化した隕石に向けてフィールドを指すと、隕石の粉は指した場所に落ちていき1つの大きな砂山となった。
瀬戸口せとぐち りゅう
粉砕的な能力?
碑賀ひが あずま
腑に落ちない。
瀬戸口せとぐち りゅう
自分で言ってるけど、確かに粉砕って言われたら納得出来るっちゃ出来るけどなーんか違うような気もする。
酒葉さかば みのり
取り敢えず、あの隕石を粉々って仲間にしたら強力そう…
ぼんやりと砂山を見ていた酒葉さんが呟く。
すると、千早達の方の映像が途切れ、他の映像に変わったのか焼け野原となった街が映し出された。
ユリ
『えー、Eチーム全員死亡ってことでBチームの勝利です!時間を巻くとは言ったけどここまでとは…』
千島ちしま 瑞樹みずき
捺祢の能力も気になるけど、ユリの能力も気になるよな。
楠木くすのき しん
ああ、あいつが立ってる場所だけ被害が全くねーし。
焼け野原になった街。
でも、ユリに近い映像の下の方は慎の言う通り隕石が落ちていないのか綺麗な地面。

さっき捺祢が何かをしたようにユリも何かをして守ったんだろうけど……謎過ぎる。
ユリ
『街は一瞬で戻るのでご安心を!』
音羽おとは 捺袮なつね
じゃ、選手交代。
そう捺祢は眠そうに欠伸をしながら、いつものように指を鳴らした。

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