第10話

最後の姿
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2024/05/05 13:50
"誇り高きエリュウス族35代族長
ステラ・レグリシオンここに眠る"
古びれた墓にはそう刻まれていた
ここに来るのも随分と懐かしい
ハウレス
ハウレス
20年ほど来れてなかった…すまない、ステラ
墓に手を伸ばし、刻まれた文字をなぞる
ハウレス
ハウレス
ここに来ると思い出すんです
ハウレス
ハウレス
あいつの最後の姿を…
唐突に話しかける俺の思いを読み取ってか主様は続きを促すように仰る
主
聞かせて……ステラさんの最後を
その日、次から次へと湧いてくる天使を相手に俺たちは戦っていた
ハウレス
ハウレス
はぁっ!!
ザシュッ
ステラ
ステラ
ッ…ッらぁ!!
シャララララ、バシュッ
天使
死になさい、命のために
ステラ
ステラ
次から次へと…羽虫の如く……鬱陶しい!!
ハウレス
ハウレス
横だ!
ステラ
ステラ
わかってる!!
メキメキ、べキッ
天使
死になさい、命のために
天使
死になさい、命のために
天使
死になさい、命のために
バゴッ
ステラ
ステラ
はあぁぁ!
斬っても、斬っても現れる敵
精神的にも体力的にも俺たちは追い詰められていた
ハウレス
ハウレス
ぐっ
天使の攻撃を避けきれず脇腹に傷を負った
それがいけなかった
天使
死になさい、命のために
ハウレス
ハウレス
しまっ…
ひるんだ所に逃げ場のないほど天使が周りに集まり、俺に腕を振り下ろす
ステラ
ステラ
ハウレス!!
ステラの悲痛な叫び声にここで終わるのかと目を閉じる
死んだ…はずだった
しかし、いくら待ってど想像した衝撃は来なかった
代わりに漂うのは生臭い血の匂い
恐る恐る目を開けてみるとそこには

















ステラ
ステラ
あ”……あ”あ”……
俺を庇い、天使に身体中を貫かれ、血を流すステラの姿だった
ハウレス
ハウレス
…は?
目の前の光景に理解が追いつかず、思わず呆然とする
しかし、その間も彼女は天使にあちこち貫かれた状態で鎖を掴み…
ステラ
ステラ
…ぐ……ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァァァァァァ!!!
シャララ、ズババババ
ボトボト
天使
しし死になさい…いい、命の……
天使を…一掃した
ステラ
ステラ
……ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...
ドサ
ハウレス
ハウレス
っ!ステラ!!!!!
その瞬間我に返り、崩れ落ちた穴だらけのステラの体を抱きしめ、必死に呼びかける
ステラ
ステラ
ア゙ア
ハウレス
ハウレス
しっかりしろ!!
呼びかけても目は虚ろで、抱きしめた体からは命が消えかかっていた
一瞬の隙が生んだ悲劇
それがステラを……
ハウレス
ハウレス
(おれが……俺のせいで……)
ハウレス
ハウレス
(また大切な人を失うのか?)
その事実が頭をよぎり、目からは涙があふれる
ハウレス
ハウレス
……すま……ない……グス
謝罪の言葉を口に出した時、ステラがこちらを向き、小さく口を開く
ステラ
ステラ
…な……くな……
ハウレス
ハウレス
!!
ステラ
ステラ
なくな……ハウレス
ハウレス
ハウレス
だが!!
ステラ
ステラ
わた……しが……えらんだ……こと
ステラ
ステラ
あのとき……たすける……せんたく……私がした
ハウレス
ハウレス
なんで……
バチッ
その時、左手に鋭い痛み感じた。そして、ステラは俺の襟元を掴み、怒鳴る
最後の力を振り絞って
ステラ
ステラ
あの状況なら、どちらかは確実にしんでた!
ステラ
ステラ
死を覚悟して飛び込んだのは私だ!お前じゃない!!
ステラ
ステラ
これは私の生き様だ!死ぬ場所は自分で決める!!
ステラ
ステラ
だから…ガハッ
ハウレス
ハウレス
ステラ!!
血を吐き出し苦しみながらもステラは続ける
ステラ
ステラ
だから!!
ステラ
ステラ
ハウレスは未来を守れ!!この先を!!!
ハウレス
ハウレス
!!
ハウレス
ハウレス
…あぁ!
涙を零しながらも力強く頷くとようやくステラは小さく笑った
ステラ
ステラ
……この先……色んな子が悪魔執事になると思うから……さ
話しているうちに握る手の力は消えていく
ステラ
ステラ
ハウレスが助けてあげてよ…
私は……死ぬ……からさ……
目に色はなくなっていき、命の終わりが近いことを知らせる
ステラ
ステラ
ねぇ、ハウレス…
ハウレス
ハウレス
どうしたんだ……ステラ……
微笑んで最後の言葉を告げる
ステラ
ステラ
ーーーーー
そうして、目の光は完全に消え、体の力は抜け切った
ステラは……俺の腕の中で静かに息を引き取った…

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