私が先生と出会ったのは、もう何年も前だった。
倒壊した建物、その隅に一人座ってただ絶望していた。
ヒーローなんか大嫌いだ。
ヒーローは所詮名前だけのニセモノだ。
誰か……助けて……。
ヴィランの手により、子を無くす親は決して少なくはない。
逆もまた然り。
そんなとき、助けてくれたのが先生だった。
私の望む世界と先生の望む世界はとても似ていた。
いつもいつも、優しかった。
先生は、嬉しそうな顔はせず、落ち着いた声色で淡々と話す。
多分今思えば、あの時好きなヒーローや先生以外の憧れの人を言っていたら
その人の悪事が世に出たり、私から見てその人が最低な人に見えるよう仕組もうとしてたんじゃないかと思う。
でも、私にそんな必要はなかったから。
この世の中に既に絶望していたから。
ヒーローが嫌いだったから。
幼いながらに、その絶望を知ったせいか、ずっと同じ思考をしている。
先生と一緒にいて、ひとつ後ろめたいことがあった。
"私は、強い個性を持っていない"
先生がガッカリしてしまうのではと、少し言うのを躊躇った。
私の個性は、私一人では完成しない個性だったから。
自分だけでは、何も出来なかった。
今の私の戦闘スタイルは、先生あってのもの。
"私は、先生の望む世界のために、先生が望む全てをする"












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。