手を止めて、目の前を見る。
どうして突然構ってくるようになったのかと思ったけれど。
頭の中が、ぐるぐるする。
考えることが多くて、パンクしそう。
*
ほとんど眠らないまま、朝をむかえた。
自室の勉強机の上に置いてある本を手に取る。
ハッと気づき、首を振る。
思い出さないようにと自分に言い聞かせて、かばんに本を入れた。
*
目をこすって、教室に入る。
すでに登校していた石山くんと目が合って、あからさまにそらしてしまった。
もう一度、そっと顔を上げる。
石山くんは、すでに他の男子と喋っていた。
*
眠っていないことが影響して、今日の授業はあまり頭に入っていない。
はつみちゃんにどう話したらいいのか迷って、結局笑ってごまかして、自分の席を立った。
次の授業の教室、化学室は、校舎四階にある。
私たちの教室がある二階から、階段を使って移動することになる。
おぼつかない足取りで、先を歩くはつみちゃんの背中についていく。
階段の踊り場に、足がつく。
それと同時に、他のクラスの男子たちふたりが、談笑をしながら階段の上から下りてきた。
そう思った瞬間、その内のひとりと肩と肩がぶつかって……
叫ぶはつみちゃんの姿が遠ざかっていく。
自分の足が、地についていない。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。