「 のぞむっ、 」
望「 なに、走ってきて。 」
珍し、なんて言って笑っとるけど、俺はその状態じゃない。
「 また見られたあッ … 」
望「 は?また?
はあ … 」
「 しゃあないやん!
相手が勝手に顔近づけてくんねんもん! 」
望「 まず体育館裏に男女二人きりでおることがおかしいねん。
女テニの部室、そこの近くなんやから、
あなた通るの当たり前やん! 」
望「 えー加減にせんと、あなた、悲しむで? 」
「 … べつに、悲しんでへんやろ 」
… こんな兄やもん。
呆れてるんちゃう?
悲しむどころか、兄がこんなんで恥ずかしいやろ、
望「 兄がそんなんやから、妹もタラシになんねん 」
「 わかっとるしい、、 」
望「 はあ、、笑笑
ま、鈍感やし、な? 」
鈍感ちゃうよ。?
「 鈍感ちゃう、おれ、望の好きな人わかるもん 」
妹の好きな人は、望。
望の好きな人が妹やったら良かったんやけどな … ?
「 成海 さき 、やろ? 」
サッカー部のマネージャーで、望と仲ええねん。
それだけならええんやけどな、
… あなた、成海のこと大好きやねん。
先輩に好かれるあなたやけど、成海のこと一番好きな先輩言うて、笑笑
… ほんま、
「 ふくざつ、 」
望「 え?なんか言った?
てか、成海は、気になってるくらいやで? そんな、好きとかちゃうよ 」
… お前の方がよっぽど鈍感やん。
望がぼーっとしとる時は、大抵、
成海が視線の先におるし。
お前、俺と話しとるより、成海と話しとる時の方が楽しそうやねんで?笑笑
… あー、あなた、かわいそ。
まあ、こればかりは、しゃあないけど … な
「 俺にはどうにも出来へんもんなあ、 」
望「 … え? 」
「 んーん。成海とお幸せに 」
望「 まだすき言うてないよ!? 」
… やっぱり、恋なんてするもんじゃない。
初恋が終わってから、俺は恋愛が怖くなってん、きっと … 、
あなたも同じ。
やけど、望に恋したからな、あいつ。
… また、傷つくだけなのに。
望「 … 流星は? 」
「 … 俺の恋はもう終わった。
おれ、恋なんて出来へんもん 笑笑 」
… 俺の恋は、終わったんや。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!