酷いことを言ってしまった。
3人を置いて病室に戻りながら、心がズキズキと痛む。
最近、どうしようもなく自分が嫌でたまらなかった。
たくさん仕事をもらえているのに、俺のせいで日にちを伸ばしたり、仕事自体無くなってしまったり。
こんなんで、デビューしたグループと言えるんやろうか。
センターがこんなんで、何をしてるんや。
とにかく早く元気になって、仕事しないと。
そう焦っても焦っても、退院の日付は伸びる一方。
重たい何かがのしかかって、息が苦しくなる。
それだけじゃなかった。
昨日は、実家へ帰る予定だったのに。
メールで、楽しみにしてるなって、嬉しそうなおかんからのメッセージが来た。
嘘を、ついてしまった。
ー明日、仕事忙しくなってもうて、帰られへん感じやねん。
本当は、病院から一歩も出られない。
でもそんなこと、おとんとおかんには言えない。
ベッドの上でただ寝てることしかできない俺は、
何もできない役立たず。
俺、こんなに弱かったかな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。