
長様、呼んできました。

ご苦労
先程、長_こと、ネーヴ_と話した場所に、ネーヴとエヴァ、フランマ、メモリア、そしてフィートと呼ばれた少女が、集まっていた。

アウラが消えたって聞いたのだけれど?

正確に言えば、アウラが森を抜けた。フィートも私もアウラの存在を森の中に検知できない
苦虫を噛み潰したような顔でネーヴが答える。

……2人とも、検知出来なかった…

なにかまずいんですか?

まずいも何も、この森の霧はネーヴ、そしてフィートの偽りで国にたどり着けないようにしてるのよ

森全域に魔法を使用している私達が存在を検知出来ない。これは少なくとも森の中とその周辺にアウラが居ないということになる。集中しなければ個人を特定することは困難。だけど…

2人とも検知できないということは
こくり、と頷いてフィートが言葉を続ける。

ほぼ確実に、抜け出したことになる

やんちゃな家出少女だな、まったく…

幸いなのは、どこにいるか大体予想がつくことくらいね…

そうなんですか?エヴァさん

まあ行き着く先は十中八九王都だろうな
ネーヴェラの言葉に付け足すようにメモリアが話す。

日はまだ経っておりませんが、国1番の彼女のスピードがあれば、今頃王都手前の森辺りまでは進んでいることでしょうね

そこでだ、彼女を連れ戻すという仕事を、フランマに頼みたい

え!?僕ですか?
突然のことに素っ頓狂な声が出る。

あぁ、実は私たち魔女は森を離れては行けないんだ。だから、森を抜けたアウラは身に潜む魔法に呑まれているかもしれない

魔法に、呑まれる……

そう。実験で無理やり手にした力だからな、身…器が、耐えられないんだよ
どこか寂しそうに、しかし優しくネーヴェラは笑う。

じゃあ、アウラさんは…

恐らくだが7日はもつ、だからあと3日は平気なハズだ

でも、僕がアウラさんのところに行くまでなら間に合うかもしれませんが…
ここに帰ってくるまでの次官を考えると、到底間に合わない。遠回しにそう伝える。
しかし、帰ってきた答えは意外なものだった。

わかってるよ。だからこれを託そうと思ってね
そうして差し出した袋の中を覗くと、青々とした美しい葉が5枚入っている。

これは?

器を一時的に拡張させる…まぁ、薬のようなものだ。魔女が持っていたら自身がその力を吸い取ってしまうから他人に分け与えるために持ち出したりは出来ないのだが…君は人間だからね

なるほど…これを、アウラさんに渡して、そのまま帰ってきたらいいんですね?

あぁ、でも万が一、暴走して言うことを聞かない状態だったら…

だったら………

無理やり押さえつけて、葉を口に突っ込め

え?は!?

食うのが1番だからな!細かく潰せば、飲み込めんこともないだろう!
ははは!と笑うが、その目が本気だと物語っていた。

それと、森の出口まではフィートと共に行け

フィートさんと、ですか

森に詳しいし、こいつと共に居れば迷うこともないからな!

わかりましたが、霧は晴らしてください、最短で行くならその方が早い

さすがにそれは無理じゃ…

わかった。ま、短時間なら問題ないだろ!」

いいんですか……

これ幸いと森に入ってくるなら、私が懲らしめてやるわ

じゃ、そういうことだ!行ってこい!

わかりました

え!?もうですか!?訓練で身体が痛くて!

エヴァかフィートが治すよ、問題ない!

私は痛みと疲労を“幻想”にかえて、無かったことにできる

え!?ほんとだ痛くなくなった!?

よし、問題ないな!行ってこい!

ええええ!?!?

行ってらっしゃいませ

うちの末っ子をよろしくね
無理やり明るく盛り上げるようなネーヴの声、メモリアの心から身を案ずる声、エヴァの優しく、しかし震えた声を背に受けながら、フィートと共に扉を開いた。
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