ユウはちょくちょく私の相談相手になってくれた。
……頭いいなぁ、なんて思う。
私が悩んでいることに対して、的確なアドバイスをくれる。ユウのちょっとした行動が、大切にしてもらっていることを感じさせてくれた。
正直、私は孤独だった。ひとりの生活が寂しいと思うこともあった。だから、ユウとの出会いを大事にしたかった。そんな矢先にこんな出来事。
ユウ。あなたは、どこに行ったの?
嫉妬とか、怒りとか、悲しみとか、そういうものではなかった。ただ、不安だった。ユウに、もう会えないかもしれない。それが、ただ不安だった。
いやだ。もう……いや。ユウ……あなたはどこ?
ユウの面影を感じては、ただ虚ろな視線を落とすしかできなかった。彼のことを、私はなにも知らない。探すあてがない自分に嘆いた。
ユウは私のことをなんでも知っている。知ろうとしていた。けれど、私はどうだろうか。自分からなにかをしようとしただろうか。いや、なにもしていない。
私はただユウの気持ちを受け止めていただけだった。ただ、ユウから縛られる生活に酔いしれていた。
こんな格好いい人から愛されている。監禁されるくらい、愛されている。そんな私ってすごい。
ーーおごっていた自分が情けない。
ユウは、とても魅力的な男性だった。だから、女性からの求愛にいつも頭を悩ませていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。