第62話

消失④
5,563
2019/04/07 03:55


 ユウはちょくちょく私の相談相手になってくれた。
 ……頭いいなぁ、なんて思う。
 私が悩んでいることに対して、的確なアドバイスをくれる。ユウのちょっとした行動が、大切にしてもらっていることを感じさせてくれた。
 正直、私は孤独だった。ひとりの生活が寂しいと思うこともあった。だから、ユウとの出会いを大事にしたかった。そんな矢先にこんな出来事。
 ユウ。あなたは、どこに行ったの?
 嫉妬とか、怒りとか、悲しみとか、そういうものではなかった。ただ、不安だった。ユウに、もう会えないかもしれない。それが、ただ不安だった。
 いやだ。もう……いや。ユウ……あなたはどこ?
 ユウの面影を感じては、ただ虚ろな視線を落とすしかできなかった。彼のことを、私はなにも知らない。探すあてがない自分に嘆いた。
 ユウは私のことをなんでも知っている。知ろうとしていた。けれど、私はどうだろうか。自分からなにかをしようとしただろうか。いや、なにもしていない。
 私はただユウの気持ちを受け止めていただけだった。ただ、ユウから縛られる生活に酔いしれていた。
 こんな格好いい人から愛されている。監禁されるくらい、愛されている。そんな私ってすごい。
 ーーおごっていた自分が情けない。
 ユウは、とても魅力的な男性だった。だから、女性からの求愛にいつも頭を悩ませていた。

プリ小説オーディオドラマ