蓮side
兄は俺に見せつけるように、
「橋本さん」という呼び方から「まなみさん」にした。
ジュースも俺に分かりやすいように見せつけた。
今も、分かりやすいように仲良さそうにしている
「亮平さんってお化け屋敷平気なんですか?」
「俺、全然平気。まなみさんは苦手そう」
「わかります?めっちゃ苦手なんです。」
はぁ…
「蓮くん、今日つまらない?」
『えっ……ううん。凄い楽しい 』
「本当?ならいいんだけど」
『なゆさん、俺たち初めてだよね、こんなにしっかり話すの』
「そうかも。私、人見知りが激しくて、あんまり人と話すの得意じゃないから、まなみとしか」
『そうなんだ。じゃあ、これからは俺とも話せるね』
「うん/////」
亮兄からの視線を少し感じた。
少しのんびり色々と乗って
次どこ行く?って話してた時
兄が「蓮、ちょっとお手伝いついて来てくれない?」と言うから
橋本さんとなゆさんと一旦二手に分かれ
行動することになった。
『亮兄、確かこっちにトイレが』
亮兄は俺の手を掴み、逆の方向に歩き出した。
『亮兄、だから反対だって』
「分かってる。ちょっと来て」
人の死角になる、ところで壁ドンをされた。
『亮兄、これはまずいって』
「なんか……なゆさんとめっちゃ仲良くしてたね」
『だってクラスメイトだし』
「なゆさんは蓮の事……いや、やっぱいいや」
兄は離れてしまった。
『ちょっと待って。何がいいたいの?』
「……今日の最後。これから観覧車乗りいこ。」
『え?』
「早くしないと待たせちゃうから」
合流してからも何も無かったように
自然と振舞った。
『あのさ、そろそろ帰らないとだし最後に観覧車乗らない?』
「私も亮兄くんと乗りたいな~って思ってました」
「じゃあここでペアになって乗ろ」
『なゆさんは俺とでもいい?』
「うん、」
『じゃあ、いこ。』
観覧車の目の前につき、亮兄と橋本さんが先に乗り込む。
俺は、なゆさんと2個後の観覧車に乗り込んだ。
ゆらゆら揺れながら、見える華やかな遊園地。
「蓮くん、今日はありがとうございました。」
『こちらこそありがとうございました』
「まなみが亮平さんのこと好きだって知ってるんですよね」
『はい、聞きました』
「私のことは、聞いてないですよね」
『なんにも聞いてないですけど』
「良かった…… 」
『なゆさんも亮兄の事好きなんですか?』
「いえいえ、私は……」
『もしかして俺ですか?』
そう言うと、なゆさんは首を縦に振った。
「好きなんです。」
『……ありがとう。でも、ごめん。今はあんまり恋愛に気持ちないから。』
「分かってました。あの、これから友達として仲良くして貰えませんか?」
『もちろん。僕で良かったら』
観覧車が一周して、降りて
階段を降りると……
キス寸前の亮兄と橋本さんがいた。
「あっ蓮。なゆさんも」
『何しようとしてんの?亮兄』
「蓮くん違うの!これは」
「まなみさん、なゆさん帰ろ」
なんだよ、あれ。
亮兄も自分勝手。
俺がどんな気持ちになるかどうかも知らないで。
遊園地の出口に向かって、歩いてる時も
兄へのイラつきは、治まらなかった。
遊園地を出て、橋本さんとなゆさんをバスまで送る。
「またね、まなみさん」
『気をつけて』
「はい!また行きましょうね」
「また!」
2人の乗ってるバスが動き出した。
「蓮、俺たちも帰ろ」
俺は、イラつきがもう抑えきれなくなった。
「蓮?」
『亮兄、もう1回入ろ』
「なんで?もうギリギリだけど」
『でも、閉園よりは時間あるから』
俺は亮兄の手を繋いで、観覧車まで歩いた。
「蓮」
『うるさい』
俺は、兄の手を繋いだまま
観覧車に乗り込んだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。