くいっ、と太宰が私の顎を上げる。
茶色の瞳と絡み合う視線。
美男子の顔が自分の視野いっぱいに広がるなんて初めての経験だった。
ーー故に、私はすぐにキャパオーバーを迎える。
逸そうとした視線の端っこに、まだ濡れている蓬髪を見つけーー。
そこら辺にあったタオルを、太宰の顔に押し付ける。
ーーその間に私はちょっと逃げた。
扉の外側から、太宰が言う。
、、私も、逃げるのはあんまりだったか、、?
ーーと、目に止まったのはドライヤーだ。
私はてちてちと歩いて行って、ドライヤーを手に取った。
ガチャ。
私が自分からドアを開くと、彼は少し目を見開いて、意外そうにした。
戸惑うように苦笑する太宰。
太宰を床に座らせ、私はソファーに座る。
ぶぉぉ、とドライヤーの音が部屋に響いた。
突然の問いに、私は首を傾げる。
あぁ、あれか。
と思っていると。
太宰は、とんだ爆弾発言をした。
また、私の顔に熱が集まる。
、、太宰が前を向いて喋ってくれてて良かった。
太宰が、止まる。
沈黙が流れる。
たっぷりと10秒、
もう少しで20秒に届くくらいでーー。
彼の間抜けな声。
信じられない、というふうに彼はその身体をわなわなと震わせている。
そういうと、彼はまた間抜けな声で、
と、言うのであった。
ーーこれが、太宰との出会い。
『太宰』とかいう人との出会いをひと通り話した寝雨お姉ちゃんは、目を細めて太宰さんを見た。
未だに困惑していそうな反応をする太宰さん。
アオイ姉様は、それを一言で締め括った。
羽射姉さんがそう話を切り出す。
羽射姉さんの隣の美女が静かに微笑んだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!