ボーっとした様子の白を引き戻して、何かあったのかと聞いてみる。
白は、しばらく黙ってから口を開いた。
こいつ、なんか隠してるな。
白は自身の手首をさすっていた。彼の動揺の合図。
あれから2時間ほどして暗くなってきた。
白は、時折手首をさすりながら考え込んでいたり、一点を見つめてぼーっとしていたりと、絶対にあの場で何かあったんだろうと思わせるような行動をとっていた。
そう声をかけて、皆で帰る準備をし始めた。
コイツはまたぼーっとしていたのか。
半ば強引に彼の腕を引いて、医務室へと帰った。
医務室へ帰っても、白はどこか上の空。名前だって2、3回呼んだって返事をしないことも何度かあった。
その日の夜、口汚い死に損ないとウサギはすでに眠っていて、ヒカリは夜行性なので楽しげに飛び回っている。青は口汚い死に損ないが何か無理に動いたりしないように、アイツと同じ個室で寝ている。
話を聞いているのか聞いていないのか、遅れて曖昧な反応が飛んでくる。
一応内容は理解しているようだが、常時ぼーっとしたというか、心ここに在らずな感じだ。
納得できないというように俯いた白。しばらくしれ、彼はポツポツと言葉を繋ぎ始めた。
白は少し黙った。しばらくして、とても言いづらそうに、眉間に皺を寄せながら再び口を開く。
深刻そうな、何かを悔い改めるような、後悔に溺れた顔だった。
「何を言っているのかわからないと思いますが」と悲しそうに告げた白。信じるわけではないし、信じないわけでもない。彼の返答より今の俺のがよっぽど曖昧な立場にいた。
白は、深く長く考えすぎると頭が痛くなる。今回もそれは例外でないようで、顔を歪めて頭を押さえていた。
そうきいてみれば、彼は小さく頷く。俺たちは2人で、白が亡くなったはずの恋人を見たという茂みのある花園へと向かった。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:DahliaDahlstarSunsetPink.jpg
界 : 植物界
階級なし : 被子植物
階級なし : 真正双子葉類
階級なし : キク類
目 : キク目
科 : キク科
亜科 : キク亜科
連 : ハルシャギク連
属 : ダリア属
学名【Dahlia】
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。