「ほんまに、こんなにわかりやすい店やのに、先生は見つけられないって」
「ほんまに探したのか疑ったこともあったけどな」
「わかっています。吉さんがいってましたもんね」
「そうそう、この店は必要としている人にしか入れない店だってね」
「じゅんさんは、吉さんから聞いていないのか?」
「まぁ かわいらしい。え~と」
「そうそう、ともさんが作ったの?」
「女性陣はお菓子がいいんじゃろうが、男性陣はお菓子より食事は出来ないのかな?」
「おっ そうや。先生、料理の腕はすごいんやったな」
「そうそう、この店が閉まっている間、先生何度か料理だしてくれましたな」
「そうや、先生、この店で料理やってみては?」
「そうや、そうしたら、上手いご飯も食べれるし、じゅんくんたちもたすかるでしょうし」
「じゅんくん、先生の料理の腕は一流なんやで」
「生徒って言っても、ワシらしかおらんのにな、先生」
「先生、何ちゅう返事してるんや」
「そしたら、あの兄ちゃんと一緒にやったらいいじゃないですか?」
「そうそう、先生のお友達でね。料理もうまいし、かわいい子なんですよ」
「でた、櫻子さんの溺愛が」
「もう、雅さんったら」
「あの子は孫のようでかわいいんです」
「はいはい、そうでしたね」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!