第3話

第2話 初めての友達
3
2026/02/10 08:16 更新
(…あれから毎日、ドキドキしっぱなしだ)

私は、窓から差し込む朝日に目を細めた。

昨日、黒瀬駿と交わした秘密の約束。

誰にも言えない、二人だけの秘密。

それは、私にとって甘くそして、少しだけ危険な恋の始まりの予感だった。

しかし、私は、どこか浮かない顔をしていた。

(どうしよう、誰にも相談できない…)

私には、友達と呼べる存在がいなかった。

いつも一人で本を読んだり音楽を聴いたりして過ごしていた。

だから彼との秘密の関係について誰にも相談することができずに一人で悩んでいたのだ。

そんな時、彩桜のクラスに可愛い女子生徒がいた。

三崎瑠奈。

明るく元気で誰とでもすぐに仲良くなれるクラスの人気者。

瑠奈は、クラスの中心になり、皆と楽しそうに話していた。

(あの子は、私とは違う世界の人だ)

彩桜は、そう思い、瑠奈に話しかけることはなかった。

しかし、ある日の昼休み。

私が一人で屋上で昼食を食べていると瑠奈が私に近づいてきた。

三崎瑠奈みさきるな
ねえ、もしかして水瀬さん?
明るい笑顔で話しかけてくる瑠奈。

水瀬彩桜みなせ さくら
えっ? あ、うん
 
驚きながらも答える私。

三崎瑠奈みさきるな
やっぱり! 私、三崎瑠奈って言うんだ。よろしくね!
瑠奈は、彩桜の隣に座りお弁当を広げ始めた。

水瀬彩桜みなせ さくら
あ、あの、瑠奈ちゃん。聞きたいことあって! 黒瀬くんのこと
いきなりそう切り出した私に瑠奈は、目を丸くした。

三崎瑠奈みさきるな
えっ? 黒瀬くん? どうしたの、急に?
不思議そうな顔で尋ねてくる瑠奈。

(やっぱり、変だよね…)

自分の行動を恥ずかしく思い顔を赤らめる私。
水瀬彩桜みなせ さくら
ご、ごめん。やっぱり、何でもない
慌てて取り繕おうとする彩桜。

しかし、瑠奈は、そんな彩桜の様子をじっと見つめていた。
三崎瑠奈みさきるな
もしかして、水瀬さん、黒瀬くんのこと好きなの?
瑠奈の言葉にドキッとする彩桜。

水瀬彩桜みなせ さくら
そ、そんなことないよ!
必死に否定する私。
三崎瑠奈みさきるな
ふふっ、無理しなくてもいいんだよ。だって水瀬さんの顔、真っ赤だもん
いたずらっぽく笑う瑠奈。
水瀬彩桜みなせ さくら
う、うるさいな…
頬を膨らませる私。


三崎瑠奈みさきるな
ねえ、水瀬さん。よかったら、私に話してみない?
優しく微笑みながらそう言う瑠奈。

水瀬彩桜みなせ さくら
話すって何を?
警戒しながら尋ねる私。
三崎瑠奈みさきるな
黒瀬くんのことだよ。もしかして、何かあったんでしょ?
瑠奈の言葉に私は、心が揺さぶられるのを感じた。

(…この子になら話せるかもしれない…)

そう思った瞬間、彩桜の心に一筋の光が差し込んだ。
水瀬彩桜みなせ さくら
違うの! 実は、どうな人なのか気になって。
彩桜は、慌てて弁解した。

三崎瑠奈みさきるな
ほぅ

瑠奈ちゃんは、ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。

水瀬彩桜みなせ さくら
私、黒瀬くんのこと知らなくて
私は、俯きながらそう呟いた。

三崎瑠奈みさきるな
わかった。黒瀬駿くんはね、桜ノ宮学園内で一番人気でさ。

顔もスタイルも良くてスポーツ万能。

性格も明るくて誰にでも優しいから男女問わずみんなに好かれてるんだ。

かっこいいって言われていてファンクラブもあるんだよ
瑠奈ちゃんは、楽しそうに彼のことを説明してくれた。

水瀬彩桜みなせ さくら
そうなんだ。
私は、驚きながらそう呟いた。

(やっぱり…私とは、住む世界が違うんだ…)

改めてそう感じて少し落ち込む私。
三崎瑠奈みさきるな
水瀬さんは、黒瀬くんと何かあったの?
瑠奈ちゃんの問いかけにドキッとする私。
水瀬彩桜みなせ さくら
え? な、何もないよ!
慌てて否定する私。

三崎瑠奈みさきるな
本当に?
疑わしそうな目で私のを見つめる瑠奈ちゃん。
水瀬彩桜みなせ さくら
う、嘘じゃないもん!
必死に弁解する私。
三崎瑠奈みさきるな
ふふっ。わかった、わかった。信じるよ
瑠奈ちゃんは、笑いながらそう言った。

しかし、その瞳は、どこか私の嘘を見抜いているようだった。

三崎瑠奈みさきるな
ねえ、水瀬さん。

よかったら私に話してみない? 誰にも言わないから
優しく微笑みながらそう言う瑠奈ちゃん。
水瀬彩桜みなせ さくら
話すって何を?
警戒しながら尋ねる私。
三崎瑠奈みさきるな
全部、だよ。水瀬さんが黒瀬くんのことをそんなに気にしている理由。

私、水瀬さんの力になりたいんだ。
瑠奈ちゃんの言葉に私は、心が揺さぶられるのを感じた。

(この子になら話せるかもしれない…)

そう思った瞬間、私の心に一筋の光が差し込んだ。
水瀬彩桜みなせ さくら
実は…
私は、意を決して口を開いた。

しかし、言葉は、喉の奥で詰まってしまった。

(ダメだ…やっぱり、言えない…)

彼との秘密の約束が私の口を閉ざしてしまう。

誰にも言えない、二人だけの秘密。

それを破ることは、彼を裏切ることになる。

私は、そう思って怖くなった。
水瀬彩桜みなせ さくら
実は、やっぱり言えない! ごめんね!
涙目で瑠奈ちゃんに謝る私。
三崎瑠奈みさきるな
そっか。無理しなくてもいいんだよ
瑠奈ちゃんは、優しく微笑みながら私の頭を撫でた。
三崎瑠奈みさきるな
でも、もし、何かあったらいつでも私に言ってね。

私は、いつでも水瀬さんの味方だから
瑠奈ちゃんの言葉に私は、胸が熱くなるのを感じた。

(ありがとう、瑠奈…)

私は、心の中でそう呟いた。

それから私と瑠奈ちゃんは、いつものように一緒に昼食を食べたり、帰り道を歩いたりした。

しかし、私の心は、どこか重たいままだった。

(…私は、どうすればいいんだろう…)

誰にも相談できない秘密を抱え私は、一人で悩み続ける。
結局、私は、その夜、悩み過ぎてなかなか寝付けなかった。

彼との秘密の関係、そして瑠奈に秘密を打ち明けられなかったこと。

色々な思いが頭の中を駆け巡り気がつけば、夜空には、星が輝いていた。

(もう、こんな時間…)

慌てて、眠りにつく私。

しかし、寝不足のせいで翌朝は、ひどく体がだるかった。

(今日は、授業に集中できるかな…)

不安を抱えながら家を出る私。

学校に着き階段を上っていると突然、視界が歪んだ。

寝不足でふらっとしたのだ。

水瀬彩桜みなせ さくら
わぁ。
 
私は、階段から転げてしまいそうになった。

その時、一人の手が私の腕を掴んだ。
黒瀬駿くろせ しゅん
大丈夫?
 
心配そうな声が私の耳に届く。

顔を上げるとそこに立っていたのは、黒瀬くんだった。
水瀬彩桜みなせ さくら
あ、あ、ありがとう。
 
私は、照れながらお礼を言った。


彼に助けられたことで心臓がドキドキと高鳴る。

黒瀬駿くろせ しゅん
顔色悪いよ? どこか、具合が悪いの?
心配そうに私の顔を覗き込む彼。

水瀬彩桜みなせ さくら
だ、大丈夫! 気にしないで
 
私は、彼の視線から逃れるように急いでその場を離れた。

(見られたどうしよう…)

彼に体調が悪いことを知られてしまった。

もしかしたら、秘密の関係が瑠奈ちゃんや他の人にバレてしまうかもしれない。

そう思うと私は、いてもたってもいられなくなった。

(早くここから逃げなくちゃ…)

私は、誰にも気づかれないようにそっと教室を抜け出した。

向かった先は、誰もいない屋上だった。

(どうしてこんなことになっちゃったんだろう…)

私は、フェンスにもたれかかりため息をついた。

秘密の関係を始めたことで私の日常は、大きく変わってしまった。

嬉しいこと楽しいことそして不安なこと。

色々な感情が押し寄せ私の心を大きく揺さぶっていた。

(私は、一体、どうしたいんだろう…)

私は、青空を見上げながら自分の心に問いかけた。

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