第13話

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2021/11/15 09:18
「きゃああああああああ」

誰もいない校舎内に女の子の悲鳴が響き渡った。

その声の主は杏だった。

「杏⁉︎」

私達は急いで図書室へ入ると、杏の姿を探した。

そこには床に倒れ、頭を抱え何かに怯える杏の姿があった。

「杏、どうし…」



恐る恐る視線を下ろす…


生温い温度。慣れないツンとした匂い。湿った指先。



杏の腹部を水源とし、溢れ、染み渡る“血”


「助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けてよぉお!!」

そうか、人は死に直面するとこんな風になるのか。



しゃくりあげるようにし泣く杏の声は悲鳴と化し、もう手の施しようの無いほど恐怖に埋もれていた。



「おい、杏!!しっかりしろ」

すかさず彼方が私の横を通り越し、杏の元へ駆けつけると傷口に手を当て止血しようとする。が…



やめて



「は?」


「もうやめて!!!杏はもう助からない、放っておけば勝手に死んでるよ。だから彼方…もうやめて」

彼方は一瞬目を見開いた。

「は、何言ってんだよお前…」


彼方の発した言葉に肩を落とす。



そっか、彼方は…杏が好きだったんだね


私は唇を噛みながら彼方と杏を見ていた。でも…ごめんね?私、今は少しだけ普通じゃないのかもしれない。

不意に視線を落とすと血に汚れた包丁が私を誘うに転がっていた。

「はは…ふはっ、ははは…」

そういうことでしょ



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