どうやら、瓶をふっ飛ばしたのはななもりのようだ。
私が大きな声を出したからか、ビクリと肩を震わせる。
私は今はそんなことに動じない。
今すぐかまって( * ॑꒳ ॑*)۶"ナデナデってしたいが、治療が先だ。
するとななもりの目にはうっすらと涙が
浮かび始めた。そして、とうとう堪えきれずに、大粒のしずくがポロポロとこぼれる。
私は思わずギョッとしてしまった。
なに!?
なんなのあのかわいい生き物!!
どこの小動物!?アイツ猫だよね!?
犬系男子じゃぁぁぁん!!
※あなたは今、かなり動揺しています。
あー!目がうるうるしてんのダメ!!
口がへの字なのもカワイイ!!
鼻にかかった甘える声は耐えられなぁい!!
私が今言えること…それは、
『今のななもりには勝てない』ということ。
なんとか理性を保ち、壊れたスピーカーに
問いかける。
ダメだ、砂嵐だ。全然聞こえない。
ドアをドンドンと叩く音が聞こえる。
私は、ななもりが頭をかたむけたのにやられた。なんかもう色々ヤケになってきたぞ?
そういうと、ななもりの顔はパアッと明るくなった。
うわぁぁ、ナデナデしたい!!そう思い、
手を伸ばすとパシッと手首を掴まれた。
そう言って笑う顔は、さっきの可愛い顔ではなかった。
普段のななもりの色気を倍増させたかのような笑い方だった。
ゾクリと悪寒がし、身震いする。
そう言って舌なめずりする。
手首は床に押しつけられていて動かせないし、馬乗りなので動けない。
どうしよう、ピンチかもしれない。
ななもりの目の奥が、天井のシャンデリアに反射して、キラっと光って見えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。