第12話

第九話
30,119
2020/02/21 12:09
ななもり。
ななもり。
なんでかまってくれないのっ
どうやら、瓶をふっ飛ばしたのはななもりのようだ。
あなた

ななもりぃ!

私が大きな声を出したからか、ビクリと肩を震わせる。
私は今はそんなことに動じない。
今すぐかまって( * ॑꒳ ॑*)۶"ナデナデってしたいが、治療が先だ。
あなた

今からお前を治す。
大人しくしていろよ?

するとななもりの目にはうっすらと涙が
浮かび始めた。そして、とうとう堪えきれずに、大粒のしずくがポロポロとこぼれる。
私は思わずギョッとしてしまった。
ななもり。
ななもり。
治すってなぁに…何するのぉ…グスッ…遊んで欲しいだけなのに…遊んじゃダメなの?
あなた

なに!?
なんなのあのかわいい生き物!!
どこの小動物!?アイツ猫だよね!?
犬系男子じゃぁぁぁん!!
※あなたは今、かなり動揺しています。

あー!目がうるうるしてんのダメ!!
口がへの字なのもカワイイ!!
鼻にかかった甘える声は耐えられなぁい!!
私が今言えること…それは、
『今のななもりには勝てない』ということ。
あなた

さ、さとみ…聞こえるか…?

なんとか理性を保ち、壊れたスピーカーに
問いかける。
さとみ
さとみ
ザ…ザザ…あなた…
き、こえ…ザザ…
ダメだ、砂嵐だ。全然聞こえない。
ななもり。
ななもり。
遊ぼ?コクン
あなた

あああああ!?

莉犬くん
莉犬くん
あなた!?
悲鳴が聞こえたよ!?
ドアをドンドンと叩く音が聞こえる。
私は、ななもりが頭をかたむけたのにやられた。なんかもう色々ヤケになってきたぞ?
あなた

あーもう、いい!
かまってやる!!

そういうと、ななもりの顔はパアッと明るくなった。
うわぁぁ、ナデナデしたい!!そう思い、
手を伸ばすとパシッと手首を掴まれた。
ななもり。
ななもり。
それじゃ、遊ぼうか。
楽しいから、大人しくしてて?
そう言って笑う顔は、さっきの可愛い顔ではなかった。
普段のななもりの色気を倍増させたかのような笑い方だった。
ゾクリと悪寒がし、身震いする。
ななもり。
ななもり。
そんなに怯えないでよw
ちょっと、遊ぶだけだから
そう言って舌なめずりする。
手首は床に押しつけられていて動かせないし、馬乗りなので動けない。

どうしよう、ピンチかもしれない。
ななもりの目の奥が、天井のシャンデリアに反射して、キラっと光って見えた。

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