第11話

十話
4年ぶりに来た地元の夏祭りは、記憶にあるそれから微妙に変わっていた。

「あ、“あれ”なくなってるな。いつもここでやってたのに」

「本当だ。好きだったのにな、残念」

「ん?お前、最近この祭り来てねえのか?」

図星を言い当てられ、ぎくりと身が強ばる。

隣から視線を感じたが理由を口にしたくなくて、反対方向を向く。

「……別に、来たくなかったわけじゃないし」

「じゃあなんで来てねえんだ?」

……本当に忘れてるの?この人。

人が一生懸命告白したってのに――――





「ハルアキくん、早く行こー!」

「行く行く。でもちょっと待て。靴ひもがほどけて……」

「もー、おーそーいー!」

中一の私は、玄関でしゃがみ込んで靴ひもを結ぶハルアキくんの背中に乗っかって足をバタバタしていた。

誰にでもこんな子供っぽいことをするわけでは当然ない。つまるところ、――ハルアキくんが私の好きな人だったからだ。

家が真向かいで小さい頃から遊んでて、私とハルアキくんの関係を言葉で表すなら「幼馴染み」。歳は7つ離れてたけど、私はずっとハルアキくんしか好きじゃなかった。

毎年ハルアキくんが連れていってくれる夏祭りがある日の夜。私に門限があって長くはいられないため、早く早くとハルアキくんを急かす。

「よし、できた。んじゃ行くか」

「うん!」

この日も、それまでと同じ楽しい夏祭りだった。ハルアキくんと二人で、いっぱい食べて、いっぱい遊んだ。


「春明?」


――この声に、振り向くまでは。