いやぁ面白い話が聞けたな。ジョジョの奴、相当大変な環境にいるようだ。おもわず笑ってしまう。気付いたらあなたと相手の女は別れていたらしい。
俺の存在に気付いたあなたが「あ、ディオ!」と言ってこっちに走ってくる。まずい、本人が近くに来た。一気に鼓動が早まるのが分かる。
しかしここで思わぬ事態が起こる。
走っているあなたが河原の石につまづいた。転んではいけないと思い、慌てて立ち上がる。
この気持ちを自覚してからと言うものあなたにだけは"傷ついて欲しくない"と言う気持ちが強くなったような気がする。
なんとかあなたを抱き止めて転ぶのを阻止した。しかし俺は今一安心している場合ではなかった。
"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあなたに触れている、あなたの体に触れている、俺は今あなたに触れているんだ!!"
その歓喜が俺を包んだ。こうやって見るとあなたは本当に華奢だなぁ、腕なんかも俺がちょいと踏ん張れば簡単に折れてしまいそうだ。
離したくなかった。あなたは顔を真っ赤にして震えている。きっと異性にこう言った経験をされたことが無いのだろう。それが余計に歓喜を煽った。
しかしここでまたも想定外のことが起こる。いまの今まで恥ずかしそうにしていたあなたは突然顔を真っ青にし、俺から離れたのだ。
そう早口で捲し立てたあなたはその後も「ごめんなさいごめんなさい」と連呼して泣きながら帰ってしまった。何だ、急に何を起こしたんだあなたは。
何かこの行為があなたにとって重要な部分に触れてしまったのだろうか。残念ながら今の俺には全く分からなかった。
するとその様子を見たジョジョがあなたに話しかけていた。ジョジョが何やら聞くと、今度は頷いていた。
きっとジョジョはあなたのことを俺より知っているから対応できるのだろう、俺はそのことを知って酷く嫉妬した。
正直癪だがあなたのことについて知りたいし、取り敢えず計画上ジョジョとは表向き仲良くしなければならないので後でジョジョに聞いてみることにした。
ーーー
家に帰るとまだジョジョは帰っていなかった。まだあなたの話を聞いているのだろうか。
そう思っていたら丁度ジョジョが帰ってきた。これは良い、早速ジョジョに聞いてみるとするか。
そう言うと気まずそうに下を向いたジョジョ。どつやらかなり言いにくいことであるらしい。何かあなたにとってデリケートな部分なのだろうか。
しかしあなたと今後も一緒にいるとなると、知っていなければならない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。