窓の外を見ていた。見飽きた風景。部室の小窓。
窓を開ける。冬の風が肌寒く、朝の空気が心地よかった。
部室のドアが開く。ギギギと大きな音を立てるドア。このドアそろそろ古いよな…。
そんな、日常だった。いつも通りだった。
普通に挨拶をしようとして驚く。思わず地声が出た。目も見開いてるように思う。
そこに居たのは……髪を断髪した橘だった…
驚きの連続でパニックになる。これじゃまるで…
急な言葉に驚くが、そういえばもう地声でいいのだと高い声を出す。橘もそれに動じず、近ずいてきた。
……展開がよく分からない。ついていけない。イメチェン…?男っぽい性格を隠さないことにしたとか?え、男?いや……それは俺の願望でありまして……
次の瞬間抱きしめられる。我慢をするのを辞めたように、橘の手先が私の髪先に触れた。
つい、はいっていったけど……。
は?!待って待って待ってえ。男?!オトコ……漢…おとこ……?!
橘に口を塞がれた。
もう本当に消えそうな声で謝られる。別に怒ってなんかいないんだけど……。
そんな分かってくれみたいな目で言われても何もかもが分からない。どうして急にこんなこと言われたのか、どうして急に男ということを明かしたのか……もう分からないことだらけですし。
突然の告白に驚く。
脳が衝撃を受けているのを実感した。
嫌…!
………ではなかった。怖くない。悲しくない。
これは……なんというか……
…………愛…しい?
彼を抱きしめ返す。背中を触り、ぎゅっと引き寄せる。
急な情報量に驚く。キャパオーバーだし正直実感できてないけど。でも……それって……
や、やっぱりいきなりのことで、頭が回っていない。
え、本当に……付き合えた…。んだよね?
急な質問に驚く。学校のことか……
ここの学校結構フリーだからなぁ……。それにしても、
本気で驚く橘が、まるで子供みたいだ。
これが……この可愛いのが、俺の……いや、私の彼氏になるんだ…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。