辺りは草木、山景色。だけど、
〝温泉〟はとても気持ちが良かった。
看板には何やら沢山の効果が書いてあった。
まぁ何だか性格の歪みやら失恋の痛みやらを治す、
面白い効果も書いてあったけどね。
その温泉に入りつつ、疲れた体を癒していた。
天元くんは、好きな相手、だけど。
恋愛の対象な訳ではない。
私の恩人であり、尊敬し、兄のような存在だ。
ほら、彼だよ、彼。
君のことを大好きな。
たまたま、ね。
あ、何か怪しっ。
遠くから、『ありがとうございます』の連呼。
これはこれは。
蜜璃ちゃんは温泉から立ち上がる。
と、私も続いて温泉から上がる。
それから温泉を後にし、宿のような所へ。
蜜璃ちゃんと話しつつ、廊下に出た。
前から、背が高い、髪型は変わっている男性。
あぁでも若そうだね、隊員だろう。
いや、急過ぎないかい!?
名乗って名乗れって。そんな、凄い勢いだね。(笑)
まぁ困ると言うより、私が視た所、
照れて恥ずかしそうだな…
硬直しちゃってるもんね。こりゃ可哀想だわ。
彼は何も話さず、逃げるように走り去ってしまった。
一応、会釈はしてくれたけどね。
私しか見てなかったけど。
と、また話をして色んな所を見て回る。
するとまぁびっくり。
見慣れた花札の耳飾り、頭の傷、またかい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!