第51話

記憶という名の宝
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2020/07/30 07:00 更新
蝶屋敷のベッドの上で、


同室の無一郎くんと少し話をした。


いや、正確には初めて話し掛けてくれたのだ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…記憶が、戻った?
時透 無一郎
…はい。前の、記憶が。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…ふふ、あはは!
時透 無一郎
え、あ、あの、どうかしました?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いや、すまない。てっきり私は嫌われているのかと思ってね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
人の好みはそれぞれだし、
本音を言えば少し落ち込んでたんだ。
『はぁ…』とか、『…?』みたいな空返事が多くあったからね。


そういう子なんだろうとか、思ってたけど。


そうか、記憶喪失。


お館様から聞かされていないし、勘違いしてしまったようだ。
時透 無一郎
それは、…すみません。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
いいや、構わないさ。宝より大事な記憶を取り戻せたのだろう?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
それなら何より、
今後に大いに期待だ。
記憶と言うのは宝。


今は亡き父がよく言っていたかな。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
君の霞と私の月は相性が良い。
機会さえあれば手合わせしたくてね。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
これならいつか出来るね。
完治すれば是非、しないかい?
時透 無一郎
勿論です。僕も、色々と、教わりたいと、思って…います。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そんな自信無くさないで!(笑)
大丈夫大丈夫、これからだ。
少し照れ気味に言ってくれる無一郎くん。


いや、記憶が戻ると、


こうも素直なものになるのかい。


なんだ、ただの若い良い子じゃないか。


まぁ詳しくはこれから知れるのだろうけど。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
君は上弦の伍を倒したんだ。
もう前の君じゃない。
時透 無一郎
…はい。
胡蝶 しのぶ
あらあら、何だか二人とも…中性的過ぎて性別がよく分からないですね。
相変わらずの笑顔で薬を持ってきたしのぶちゃん。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
おやおやぁどういうことだい?
胡蝶 しのぶ
端的に言えば顔が整ってるんです、
お二人とも。
若干怒っているような笑顔を浮かべたしのぶちゃん。
時透 無一郎
…?ありがとうございます?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
無一郎くん素直だね!!
皮肉かい?それとも嫉妬かい?
夜霧 蘭
夜霧 蘭
安心したまえ、
しのぶちゃんの方が素敵さ。
胡蝶 しのぶ
まぁよくもスラスラとそんな言葉が。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
事実さ!
熟練の仲ってやつだろうか、


しのぶちゃんと話すと楽しいものだ。


年はいくつも違うけどね。
時透 無一郎
仲、良いんですね。
まぁ、周りにもこう見えてくれるわけだ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
ん?あぁ、一緒に居る時間が長いからね。その分喧嘩だってするよ。
時透 無一郎
なるほど…あ、胡蝶さん。
胡蝶 しのぶ
はい、お怪我の具合はいかがです?
時透 無一郎
お陰様でもう平気です。
それより、炭治郎は…
胡蝶 しのぶ
お陰様で…??時透くんもです、ほんとに治り早いんですよ、別室の甘露寺さん何か朝からご飯を何倍食べたことか…アオイが青ざめてましたよ…。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
何今の、駄洒落?
胡蝶 しのぶ
違います!
時透 無一郎
炭…治郎…は…
胡蝶 しのぶ
はっ、ごめんなさい、
夜霧さんにつられてつい。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
そーやってすーぐ人のせいにするー。
胡蝶 しのぶ
竈門くんなら別室でまだ意識が戻っていません。
あっ無視された、じゃなくて。


炭治郎くんや玄弥くんには、


柱として情けない姿を見せたし、


その上、任せっきりにしてしまった。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
…かなり、無茶させたからね。
時透 無一郎
えっ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
あっ、うん、ごめんね、面目無い。
時透 無一郎
いえ…僕も動けなくて…。
胡蝶 しのぶ
それより、夜霧さんですよ。
夜霧 蘭
夜霧 蘭
安心したまえ、明日には動けるよ!
胡蝶 しのぶ
………。傷を見せてください。
時透 無一郎
(突っ込むのを諦めた…)
またしのぶちゃんには小言を言われつつも、


後日、私と無一郎くん、そして蜜璃ちゃんは、


完全に動けるようになったのだった。

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