蝶屋敷のベッドの上で、
同室の無一郎くんと少し話をした。
いや、正確には初めて話し掛けてくれたのだ。
『はぁ…』とか、『…?』みたいな空返事が多くあったからね。
そういう子なんだろうとか、思ってたけど。
そうか、記憶喪失。
お館様から聞かされていないし、勘違いしてしまったようだ。
記憶と言うのは宝。
今は亡き父がよく言っていたかな。
少し照れ気味に言ってくれる無一郎くん。
いや、記憶が戻ると、
こうも素直なものになるのかい。
なんだ、ただの若い良い子じゃないか。
まぁ詳しくはこれから知れるのだろうけど。
相変わらずの笑顔で薬を持ってきたしのぶちゃん。
若干怒っているような笑顔を浮かべたしのぶちゃん。
熟練の仲ってやつだろうか、
しのぶちゃんと話すと楽しいものだ。
年はいくつも違うけどね。
まぁ、周りにもこう見えてくれるわけだ。
あっ無視された、じゃなくて。
炭治郎くんや玄弥くんには、
柱として情けない姿を見せたし、
その上、任せっきりにしてしまった。
またしのぶちゃんには小言を言われつつも、
後日、私と無一郎くん、そして蜜璃ちゃんは、
完全に動けるようになったのだった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。