第3話

夏休みと廃病院。
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2022/04/10 13:10
「明日から夏休みだけども、ハメ外しすぎないようになー。課題忘れんなよ」



教室から先生が居なくなるとみんなチラホラと帰りはじめる



「ねえ!肝試し行かない?」


いつの間にか私の机の周りに結衣、柚、里花の三人が集まっていた。
川上 由紀
川上 由紀
肝試し?
「いいね!楽しそう」




「えー?やだよー…」



「大丈夫だって!ねえ、いつ行く?」


「13日は?」


「あ、その日は用事あるから14日は?」


「14日ね、オッケー」


「本当に行くの?」



「柚は怖がりだもんなぁー。大丈夫!ウチらがいるし」








どんどん話が進んでいき、14日の夜九時に
この辺では有名な心霊スポットに肝試しに行くことになった。





「由紀も行けるよね?」
川上 由紀
川上 由紀
うん、大丈夫。楽しみだね!
今もし、『ごめん、行けない』って言ったらどんな反応するんだろう



怖くて言えないな……


こういうことに脅えてる私

最高にカッコ悪……















川上 由紀
川上 由紀
ごめん、遅れた?
「大丈夫だよ!じゃ、行こっか」







自転車を漕いで30分



目の前には大きな廃病院があった



「うわ、実際来てみると怖いね…」

「だ、大丈夫だって」

「ねえ、今からでも帰ろうよぉ…」




川上 由紀
川上 由紀
先頭は私でいいよ
「本当!?じゃあ、お願いする」





引き戸を押すとギギィッ…と音を立てて開いた



中はそこまで荒れてはいなかった


戸も閉まっていたからか中に落ち葉とかもなく


至って普通な感じがした







川上 由紀
川上 由紀
どこ行けばいい?
「と、とりあえず1階見てまわってから2階行こう」

「え!?2階も行くのぉ?」
川上 由紀
川上 由紀
分かった



1階の診察室や待合室を見て周り何も起きらないことを確認してから2階を目指して階段を上る





2階は病室だった



どこも扉は閉じたままだった








「ねえ、なんか変じゃない?」





あれ、あそこだけ扉が空いてる…




「なんか寒気やばい…」




気になる…




「ねえ!ヤバいって!なんか耳鳴りが鳴り止まないし、寒気するし!」





一歩、また一歩と歩を進める私をよそに三人は立ち止まったままだった




「由紀!もういいよ、戻ろう!」




「私、もう無理!」

「私も!」

廊下にバタバタと二人の足音が響き渡る。


「由紀も早く!先行ってるから!急いでよっ!」


里香も走って行ってしまった






まあ、いいや…

ここで呪い殺されたとしても本望かもしれない




ゆっくりと扉の開いた病室を覗くと私と同い年くらいの男子が病室の窓から月を見ていた



生身の人間ではないとすぐに分かった




彼は……半透明で




その体は月の光で透き通っていたから




川上 由紀
川上 由紀
ねえ
考えるより先に声が出ていた






彼は驚いた表情をしてそしてゆっくりと消えようとしていた
川上 由紀
川上 由紀
待って!
彼は元の半透明な状態に戻り、私に体を向けた
川上 由紀
川上 由紀
死ぬ時って……苦しいの?
死んだら自由に…無になれるの?
彼は数十秒一言も発さなかった






そしてやっと
???
???
今日は帰った方がいいよ…
友達も待ってるから……
川上 由紀
川上 由紀
待って!!
私の言葉も虚しく、彼は消えてしまった







彼は、なんだったのだろう…


幽霊…なのかな?










もう戻らないと

里花はいつまでも戻らない私を心配しているかも
しれない











1階に戻り出口に向かう











「由紀!!いつまでも戻ってこないからびっくりしたよ!」


「良がっだぁー」

柚は泣きながら私にしがみついてきた

川上 由紀
川上 由紀
ごめんごめん
「大丈夫?もうここには来ない方がいいね…。いや、ほんとにビビったぁー」


「だから来たくないって言ったじゃん!」


「ここってほんとに出るんだね…」










そんな会話の中私一人だけ別のことを考えていた




夏休み中にまたここに来よう、と……

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