無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第17話

泣くなよ、調子狂うだろ
柴園寺 晴
柴園寺 晴
俺も今日は学園休むから、
追加で休むって連絡しとけ!
怒鳴る晴くんに、高臣が唖然としている。
あなた

は、晴くん。
さっきからブラック王子が
全開で表に出てきちゃって
ますよ!

小声でそう教えてあげると、
晴くんが「あ!」という顔をする。

でも、そこはさすが執事とも言うべきだろうか。
高臣
高臣
では、私はここで失礼いたします。
もし、なにかご入用の際は、
私にご連絡ください
完璧な笑みでブラック晴くんをスルーすると、
一礼して私の部屋を出ていく高臣。
あなた

(いろんな意味で、
執事って万能なんだな)

顔を引きつらせていると、
グーッとお腹が鳴った。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
なんだよ、腹減ってんのか?
あなた

はい……それに晴くんも、
朝ご飯まだでしょう? 
今から作るから──

柴園寺 晴
柴園寺 晴
お前はバカか
あなた

ふがっ

晴くんに鼻を摘ままれる。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
病人なんだから寝てろ!
俺だってな、料理くらいできる
あなた

晴くんが料理!?

あなた

(大丈夫なのかな?)

柴園寺 晴
柴園寺 晴
そんな心配、みたいな顔やめろ
そう言って晴くんが部屋を出ていく。

閉まった扉を見て、
私は気が気じゃなかった。

***

そして、数時間後……。
あなた

(こ、これは……!)

真っ黒に焦げたお粥……らしきもの。

鍋を見下ろし、絶句していたら、
晴くんから無言の圧を感じた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
…………
あなた

(わー……。
〝俺の飯が食えねえのか〟って、
言いたそう)

あなた

(むしろ、
これ食べれるんですか?って
聞き返したい)

あなた

い、いただきます

心を決めて、私はスプーンに口をつける。

ごくりとそれを飲み込めば……。
あなた

ごふっ

口内に広がる『辛い』『痛い』『苦い』
『酸っぱい』などなどの刺激。
あなた

(なにを入れたら、
こんなとんでもない味に
なるの!?)

あなた

あの、これって
なにが入ってるの?

柴園寺 晴
柴園寺 晴
ネットで調べたら、
酢が疲労回復にいいって
いうから入れた
柴園寺 晴
柴園寺 晴
あとは身体が温まるコショウと唐辛子、
おこげでアクセントもつけてみた
あなた

(聞かなきゃよかった……。
しかもおこげって、
そんなレベルじゃない!
むしろ炭だよっ)

あなた

(だけど……調べて作って
くれたんだ)

あなた

(その気持ちがうれしい)

私は息を止めて、
晴くんのお粥を食べる。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
…………
それを見て顔をほころばせた晴くんに、
不思議と心が温かくなるのを感じた。

【晴side】

あなたが薬を飲んで眠ったあと、
俺はキッチンにいた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
あいつ、完食かよ。
どんだけ俺のお粥、
うまかったんだ?
自分でも呆れるくらい浮かれてる。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
味見、忘れてたな……どれどれ
シンクにあいつの皿を下げ、
俺は鍋に残ったお粥をひと口食べてみた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
ぐほあっ、クソまずううう!
思わず吹き出し、
俺は急いで口をゆすぐ。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
うげえっ、あいつ……
こんなまずいのに、
全部食って……
柴園寺 晴
柴園寺 晴
(なんだ、この気持ち)
俺は胸を押さえる。

あいつの優しさに、
ドキドキしてる自分がいた。

顔が熱を持つのを自覚しながら、
俺はその場にしゃがみ込み、頭を抱える。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
……っ、なんなんだよ、
あの生き物。
可愛すぎんだろ!
誰もいないのをいいことに、
俺は悶絶するのだった。

***

幾分か気が鎮まって、
あなたの様子を見に部屋に行くと……。
あなた

お母さん……

柴園寺 晴
柴園寺 晴
──!
あなたが涙を流しながら、
寝言をもらしていた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
(そういやあ、こいつ……。
つい最近、母親を亡くした
んだったな)
いつも平然としてるから、
そのことをすっかり忘れていた。
柴園寺 晴
柴園寺 晴
(いつもは俺に
歯に衣着せない言葉で
ズバズバ意見してくるくせに)
柴園寺 晴
柴園寺 晴
泣くなよ、調子狂うだろ
その涙を拭ってやると、
あなたのまつ毛が
ふるふると震えだす。